スンジョの戸惑い 95
夏休み前に最終の進学希望を決めなければいけない。
オレの前で、クッキーを食べながら呑気にアイドル雑誌を見ているハニを羨ましく感じる。
コイツは何も悩みなんてないんだろうな。
スンジョの冷たい視線に気が付いたのか、ハニは大きく口を開けて次のクッキーを口に入れていたのが急に恥ずかしくなり、そのまま丸々一個口の中に押し込んだ。
「ハニ、お前・・・・・悩みあるのか?無いだろうな・・・・・」
「あぅ・・・・・ゴホッ!ゴホンゴホッゴホッ・・・・・・・」
クッキーの小片が喉につまったのか、目に涙を溜めて咳き込んだ。
スンジョは仕方がないな・・・というように、大きくため息を吐いてハニの背中を擦りながら近くに有った紅茶をハニの口元に持って行った。
「落ち着いたら紅茶を飲めよ、殺菌効果があるから喉に効くぞ。」
一口二口紅茶を飲んで、咳き込んでいたハニは落ち着いた。
落ち着いたと思ったらすぐにハニのお喋りが始まった。
「あるわよ・・・・悩みくらい。バカだからってバカにしないでよ。」
スンジョが吹き出すように笑うと、ハニは唇を尖らせてプゥッと膨れた。
「バカをバカにしたら真面(まとも)になるかもしれないだろう・・・・・で、お前の悩みってどうせ、オレがお前の事を本当に好きなのかどうか・・・・だろ?」
「どうして・・・・・・判るの?」
「お前の顔に書いてある。」
やはりなと思うくらい単純なハニは、自分の頬を両手で触っていた。
オレは家の中にお袋がいないのと、ウンジョが自分の部屋で本を読んでいて、暫く降りて来ない事を確信して、ハニのふっくらとした唇にキスをした。
そして毎度同じように、びっくりして目を見開いてオレの顔を見ていた。
「目が寄っている・・・・」
オレは静かに唇を放すと、ハニのオデコをピンと弾いた。
「キスをする時くらい目を閉じろよ。」
「うん・・・・・」
赤い顔をして下を向くハニが本当に可愛くて、ついからかいたくなる。
耳に唇を寄せて囁くと、くすぐったそうにハニは身体をよじった。
「でも・・・・・他の時に、オレがハニに触れた時は目を開けていられるかな?」
「や・・・・やだ・・・・エッチ!!」
赤い顔をさらに赤くして、逃げる様に自分の部屋に駆け込んで行った。
ハニにだってそれなりの悩みがあるだろうし、考えがある。
オレの進む路・・・・・・何をしたらいいのか・・・どう生きたらいいの、そんな難しそうで簡単な事が判らない。
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