スンジョの戸惑い 99
「スンジョ、先生が呼んでいたぞ。」
クラスの一人が告げた言葉に、教室にいた生徒は驚いたような表情をした。
特に問題など起こす事もないが、スンジョ自信はなぜ呼ばれたのか判っていた。
「失礼します。」
職員室に入るとソン・ガンイ先生とハニが進路についてミニテーブルの所で話し合っていた。
ハニはスンジョが入ってくると、恥ずかしそうに俯いて先生の話を聞いている。
スンジョはハニの方に向いていた視線をはずし、1クラスの担任のソン・ジオ先生の机まで行くと、ジオ先生はスンジョをハニ達と背中合わせになるミニテーブルの方に移動した。
「オ・ハニ・・・あんたの成績で推薦出来る学校は・・・・・・あ~~~困ったもんね。」
「すみません・・・・・どこでもいいんです。」
「当たり前よ!!まぁ・・・パランの社会学部ならなんとか・・・・・兎に角、何でもいいから表彰されたとか・・・・社会貢献したことがあるとか、自己アピールするしかないわね。」
ハニはガンイ先生の話しも半分は上の空で、スンジョが後ろに来ている事が気になって、話の内容を聞こうと聞き耳を立てていた。
いつも穏やかなジオ先生の顔が、スンジョが職員室に来る前から厳しい顔をしているのが気になっていた。
スンジョ君が先生に呼ばれるなんてどうしなんだろう・・・・・
「スンジョ、なぜ呼ばれたのか判るよな?」
スンジョもハニが後ろにいることは気になってはいたが、いずれは判ってしまう事だからと平然としてジオ先生の問いに答えた。
「はい、進路希望の届け出ですよね。」
「お前だけだぞ、まだ出していないのは。テハンか・・・・海外留学でも・・・・」
「大学には行きません。」
「「えっ!!」」
ジオ先生の声と同時に、ハニの驚いた声が聞こえた。
「ハニ!あんたは自分の進路の心配をしなさい。いくら好きな彼が後ろにいるからって、耳と頭はこっち!」
「冗談だよな?」
「本気です。大学に行ってもやりたい勉強もないし必要もないですから。」
「じゃぁ・・・・・何か仕事でもするのか?父親の会社に入って・・・・・・」
「清掃員にでもなろうかと思っています。」
職員室中の先生や生徒が唾をゴクンと飲んだのが判るくらい、職員室の中でスンジョの話した言葉がよく聞こえた。
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