スンジョの戸惑い 119
夏休み前に親父が倒れて二週間。
体調が安定しているということで、仕事には行かないで自宅で静養が条件で仮退院が決まった。
お袋と一緒に担当医と、退院後の生活について説明を受けた。
近場での旅行なら問題もないが、ストレスの掛ることは控えるように言われた。
好物の酒も甘い物も控えなければならなかった。
病室で仮退院の準備をお袋とハニが一緒にしている姿を見ると、こんな風にお袋が娘と片づけをしたかったのだろうと思った。
「そう言えばねパパ。ギドンさんの提案で、明日の日曜日に海でオートキャンプをしない?・・・・って。運転は私とギドンさんが担当するから、パパは後部座席で横になっていてくれればいいわよ。」
仮退院とはいえ、久しぶりに帰宅する父親に張り付くようにしているウンジョは、オートキャンプに行くと聞き子供らしく喜んだ。
「オートキャンプ?ねぇ!パパ行こうよ。僕、パパがいない間に音楽縄跳び合格したんだよ。」
「ほぉー、凄いね、よく頑張ったね。」
時々、スンジョの真似をして憎たらしい言葉でからかうウンジョもまだ小学三年生。
そんな姿に、グミも目を細めて母親の顔で見ていた。
「そうだな・・・・ウンジョにも寂しい思いをさせたから、あそこのキャンプ場なら近いし。ママ、コン秘書に連絡をして会社のキャンピングカーを用意させてもらいなさい。」
ハニとウンジョが子供みたいに喜んでいるのと反対に、スンジョが何か言いたそうにしているのをスチャンは気になった。
グミからは、スンジョが大学進学をするという事を言っていたとしか聞いていない。
考え直してくれた事に、ひとまず安心をしていた。
「スンジョ、どうかしたのか?」
「いえ・・・・なんでもありません。荷物・・・・・駐車場にギドンおじさん待っているから、持って先に行きます。」
元々口数の少ないスンジョを、スチャンは何か言いたい事があるのではないかと思った。
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