スンジョの戸惑い 121
「うわぁー!綺麗な所。海の水がこんなに青いなんて知らなかった。」
「ハニちゃん、海は初めてなの?」
「初めてなんですよ、奥さん。店が忙しくて、ハニをどこにも連れて行ってやれなくてね・・・随分と我慢させたんですよ。」
海を眺めているハニの顔を愛しそうに見ているグミ。
「ここはね、おばさんとおじさんが・・・・フフフ・・・・・思い出の場所なの。」
「思い出の場所?ですか?」
グミはハニに手招きをして、耳元で囁いた。
「ここのね、夕日がとっても綺麗なの。おじさんと日帰りだったけど来たのよ、結婚する前に・・・・ほら・・・あそこの岩陰ね、ちょうど人の目を避けるのに都合が良くて、二人で沈む夕日を見ていたの・・・・・・おじさんってすごく照れ屋さんで、何を緊張していたのか、心配するくらいに凄い汗を拭いて≪ファン・グミさん、僕と結婚してください≫って・・・・・・・」
グミの話を聞いているハニの顔は、海面の写っている太陽の光が顔に反射して眩しかった。
そんなハニを、スンジョは車の中の荷物を降ろしながら見ていた。
「プロポーズされたのですか?」
「そうなの・・・おじさんってああ見えて結構・・・・ロマンチストなの・・・・・・・でね・・・ファーストキスの場所でもあるの・・・・・・≪はい!ペク・スチャンさん、大好き!!」そう言ってね、私からキスをしたの・・・・・」
ハニは荷物を降ろしている男性陣の方を見て、運動制限のあるスチャンがギドンに何も出来なくて申し訳ないと言って頭をペコペコ下げているのを見てクスッと笑った。
「何だか・・・・想像が出来ない・・・・・そんなロマンチックな場面・・・・・」
「まっ!ハニちゃんったら・・・・昔はおじさんもスンジョくらい髪の毛もあったし、もう少し痩せていたわよ。」
荷物を降ろし終り、テントを張っている男性陣の方にハニとグミは戻りながらまるで本当の母娘のように話しをしながら歩いていた。
「ハニちゃん・・・・着替えてスンジョと泳いでいらっしゃいよ。」
ハニはグミの言葉に、頭を横に振った。
「私・・・・泳げないんです。」
「じゃあ・・・・お兄ちゃんに教えてもらいなさいよ。ねっ?お兄ちゃ~ん!」
グミは、ハニから離れてスンジョの方に歩いて行った。
グミがスンジョにハニが泳げない事を話しているのか、スンジョはハニの方をチラッと見た。
着替えながらハニは全身が写る自分の身体を、悲しそうな顔で見てため息を吐いた。
誤魔化せるものなら誤魔化したいな・・・・・・スンジョ君に水着姿を披露する事まで考えていたなかった。
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