スンジョの戸惑い 131
「君たちが呼んでくれたんだね?」
「はい。」
「その時の状況を教えてくれるかなぁ?」
スンジョは救急隊員に、女性が倒れていた時の状況を的確に伝えた。
ハニはそんなスンジョを、尊敬の眼差しでウットリした目で見ていた。
「で・・・・君はパラン高校の・・・・・・・・・」
「ペク・スンジョ君です。IQ200の天才で将来お医者様になるの。」
「余計なことを言うなよ。」
スンジョの言葉にハニはペロッと舌を出して肩をすくめた。
「それから・・・・出来れば一緒に行って、病院の先生にも状況を話してくれないかな?」
二人は救急隊員と一緒にそのまま救急車に同乗し、倒れた女性と一緒にパラン大病院まで付き添って行くことになった。
救急車の中の様子をキョロキョロ見廻すハニと対照的に、スンジョは救急隊員の車内での対応を興味深げに見ていた。
救急車は意外と患者以外にとっては乗り心地が悪く、カーブを曲がるたびにハニはスンジョに支えられていた。
あまりにスンジョと体を密着していた所為か、ハニは目の前が急に暗くなり意識が遠のいて行った。
救急隊員の呼ぶ声とスンジョの声に最初は応えていたが、次第にそれに応えることもなくなって行った。
どれくらい時間が経ったのか、ハニはヒンヤリしたものがオデコに当てられて目を開けた。
「気が付いたか?」
スンジョの声に自分の置かれている状況が判らず辺りを見廻すと、家の可愛らしく華やかな部屋と違い、白くて固いベッドの感触に何が起こったのかハニは理解できずに驚いて起き上がった。
「患者を運ぶ救急車の中で倒れたのはお前が初めてだろうな。」
皮肉っぽいスンジョの言葉に声の方を向くと、呆れた顔をしたスンジョが椅子に腰かけていた。
「私・・・・・・どうして・・・・」
「お前・・・・何を興奮して倒れたんだよ。みっともない・・・・・気が付いたなら帰るぞ。」
「ま・・・・結構オレもお前の貧乳が気になって、ちょっとは興奮したかな?」
ハニは少しづつ戻って来た記憶を考え纏めて、顔が熱く感じて急にスンジョの胸に抱きしめられた事を思い出した。
いつもより帰る時間が遅くなったが、スンジョの差し出した手をソッと繋いで並んで歩いていると、ハニは嬉しそうな顔をしながらスンジョの顔を見上げた。
「人を助けるのって・・・・気分がいいな。お前と出会わなかったら、オレはこんな気持ちにもなる事はきっとなかったと思う。お前と出逢えてお前を好きになって本当に良かったよ。」
「スンジョ君・・・・・・・」
「これからもオレのそばにいてくれるよな?」
「それって・・・・・プ・・・・・プロポーズ?」
コツンとハニの頭を叩いた。
「バーカ、考え過ぎだ。まだ結婚なんかする気ないぞ。オレの相談相手としてだ。」
先のことなど判らない。
やっと見つけた自分の夢のために、まだ乗り越えないといけない事が有るのだから。
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