スンジョの戸惑い 135
内部推薦が決まったスンジョとは対照的に、1クラスは受験本番に向けて重い空気が漂っていた。
「スンジョ・・・・お前はいいな、行先が決まって。」
「・・・・・」
「テハン大もトップで行けるだろうに、何でパランにしたんだ。お前がテハンに行かないと思うと、お前に追い付いて行こうという気力がなくなるよ。」
スンジョは煩わしかった。
特に親しくもない相手が親友のような言い方をする事に。
ましてや、エリートクラスでもある1クラスは生徒同士、お互いが全員がライバルと思っている人たちの集まりだ。
「気力がなくなる?」
「あぁ・・・・お前が中学からずっと1クラスで・・・・いや・・全校トップでいるから、スンジョを目標にやって来れたんだ。」
「よく言うな・・・・・・悪いがオレは他人の事など関係ない。」
ガタンと椅子から立ち上がって、読み掛けの本を閉じてカバンを肩に掛けた。
冷たく言い放ったスンジョの言葉は、震え上がる様な声だった。
「帰るのか?まだ7・8時限目があるぞ。」
「自習なら、家に帰って本を読んでいる方がましだ。」
8時限授業を行っているのは、難関大志望の生徒のいる1~3クラスと中堅大志望の4~6クラス。
通常授業の6時限までの授業を行っているのは7クラスの内推・就職クラス。
つまり落ちこぼれクラス。
スンジョは1~6クラスの前の廊下を無表情に歩いて、ハニのいる7クラスまで歩いて来た。
7クラスだけは他のクラスとは違って、ほぼ全員内推または専門学校や就職先の決まった生徒ばかりだからなのか、賑やかな声が廊下まで聞こえていた。
勢いよくドアを開けると、一斉にスンジョの方に視線が集中した。
「スンジョ君!」
「ハニ、帰るぞ!」
スンジョがハニとみんなの前で付き合っている事を公表してからは、堂々と二人揃って歩いている姿を見られていた。
「は~い。」
「あらあら、旦那様のお迎えね。ケーキを食べに行くのはどうするの?」
ハニはミナたちと新しくオープンしたお店にケーキおを食べに行く約束を、すっかりと忘れていたのを思い出して、開いた口元を隠す様に手を持って行った。
「ゴメン・・・・・ミナとジュリ・・・・今度ね・・・・今度絶対に行くから。」
「いいよ。その代りおごって。」
「うん!じゃあね。」
ハニは急いでカバンの中に教科書を詰めて、廊下で待っているスンジョの方に走って行った。
「スンジョ君、お待たせ。」
「友達と約束が有ったんだな。良かったのか?」
「うん、今度にしてもらった。」
ハニのカバンをスンジョは受け取ると、仲良く手を繋いで歩いて行った。
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