スンジョの戸惑い 136
家に帰れば、ハニはスンジョの部屋に入り浸っている。
今日も部屋で着替えて、何やら抱えてイソイソとスンジョの部屋に向かった。
「スンジョ君、あのね・・・」
そう言いながら勢いよくドアを開けたのと同時に、怒鳴り声が聞こえた。
「ノックくらいしろよ!」
「へッ?・・・・・やだぁ~!服を着てよ。」
「何が着てよだ。オレの部屋に来るのが早過ぎだ。」
全くシャワーものんびり出来ないのか。
タオルで髪の毛を拭きながら、背中を向けているハニに近づいた。
「もういいぞ・・・・・話って、なんだ?」
すぐ後ろにいるスンジョの方を、恐る恐る振り向いた。
スンジョが服を着ている事を確認すると、ホッとしたと同時に、急にまたいつもの元気なハニに変わった。
「これ・・・・・・・・」
「これ?旅行のパンフレット?」
「一緒に行きたいな・・・・・・って。」
ハニから旅行のパンフレットを受け取って、スンジョは何も言わずパラパラとめくっていた。
「みんな行くんだって・・・・内推の子達は卒業式までやることもないし・・・・・・」
旅行のパンフレットを、ハニに何も言わないまま返した。
「ダメ?」
「オレと二人で?」
「へっ?」
突然のスンジョの言葉に、ハニはとんでもない裏返った声を出してしまった。
「男のオレと二人っきりで行くのか?」
二人っきりと聞いてハニは恥ずかしくなった。
「ち・・・違うよ・・・・・・私たち未成年だし、そんな・・・・・おばさんやおじさんとウンジョ君と・・・・・みんなで行くの・・・あっ!うちのパパもいるけど。そんな・・スンジョ君と二人っきりでなんて・・・・・」
「残念だな、てっきり二人っきりかと思ったよ。」
からかうように、ニヤッと笑ってハニの顔を覗きこんだ。
「いいよ。夏の海のキャンプはウンジョとお前が溺れて、いい思い出もなかったし。親父とお袋に話してみろよ。」
スンジョに断られるだろうと思っていたのだろう。
さっきは心配そうに見ていたハニが、嬉しそうに眼を輝かせていた。
「うん!」
しかしハニはおばさんどころかおばあさんだな。
19歳のオレ達が温泉巡りの旅?
普通はDランドとかUスタジオパークとかだろう・・女の子は。
アイツにしたら、オレたち家族で行けるのならどこでもいいのだろう。
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