スンジョの戸惑い　１４１

スンジョと二人並んで歩くのは少し恥ずかしいのか、それともさっきの星屑の部屋での事が頭から離れないのか、ハニは遅れて歩いていた。

スンジョの長い足がピタッと急に止まると、その背中にぶつかった。

「痛い！もう急に止まんないでよ。」

鼻の頭を押さえてスンジョに言うと、ハニの目の前に手が差し出された。

「手・・・・繋ぐんだ。」

「ど・・・・ど・・・・・・」

動揺するとドモッテしまうハニ。

そんなハニを見て、スンジョは可笑しくなって笑った。

「振りをするって言っただろ。ほら、手を繋ぐんだ。」

スンジョとは何度も手を繋いだが、いつもは何も言わず下げた手を振ると手を繋ごうと言う合図にしていた。

「あっ！！」

「何だよ。」

「こ・・・・・・・恋人つな・・・・・ぎ・・・・」

廊下の向こうの方からこちらを伺っている人物がいる事にスンジョは気づいている。

ハニの耳に近づいてヒソヒソと話した。

「オレの言うとおりするんだぞ・・・・お前は俯いて赤い顔でもしてろ。」

へっ？

声にならない声でハニは応えた。

「赤い顔って、好きでしているわけじゃないんだけど。」

「いつもの様に、お袋がオレ達に期待している事をしている妄想をしてろ。得意だろう。」

ちょっと意地悪く言うと、ハニは口を尖らせてふくれっ面をした。

「あら～お兄ちゃんたち恋人つなぎをして・・・・・・何か楽しい事でもしたの？」

やっぱりそう来たか。

「ササッとな・・・・ハニもオレも汗を掻いたから湯に浸かろうと思って。」

グミの顔が何かを思った様に輝き、反対にハニは目が飛び出しそうに見開いていた。

「そうなのぉ～今から私はお風呂に入りに行くけど一緒に行きましょうか？ハニちゃん！」

余計な事を言うなよと釘を指すると、ハニはコクンコクンと頷いた。

女湯と男湯に別れる所に来ると、スンジョはハニの手を一度ギュッと強く握ってから離した。

「ああそうだ、お袋。オレ達は、あんな物は使わないから。」

その言葉にグミはどう取ったのか・・・・

ただスンジョは、そう言ってニヤッと笑っていた。