スンジョの戸惑い 156
「スンジョ君・・・・・どうしよう・・・・・」
「何が?」
ハニはオレが養護の先生と話をしていた内容を知らない。
きっとこの妄想大好きなハニは妊娠していると思い込んでいるのだろう。
「妊娠しちゃったみたい。」
「へー」
「何よ、まるで自分には責任がないみたいで!」
「オレには責任はないさ、ハニがオレを襲ったんだから。」
「襲ってない!」
大きな声で言い返したハニに養護の先生は心配そうに見ていた。
「行くぞ・・・謝恩会が始まるだろう。」
「そうやって逃げるんだ・・・・あっ!」
ハニは起き上がった時に何か感じたのか、下腹を押さえた。
そのまま、恥ずかしそうに静かにベッドを降りて、養護の先生の所まで行ってボソボソと話して小さな物を貰った。
「スンジョ君・・・・トイレに行ってくる・・・・・・先に行ってて。」
小走りにトイレに向かったハニを見て、先生は良かったねというような顔をした。
良かったもなにも身に覚えがない。
このままハニとなんともなかったような顔をして謝恩会に行く気もない。
ちょっとここで一言だけ言わせてもらわないと、ハニと同類の連中にもオレが無理やりシタだとか言われた償いをしてもらいたい。
先に行ってと言われても、ハニのカバンも持ったままで行くわけにもいかない。
スンジョはハニが入ったトイレの前で待っていた。
もうスンジョはいないと思って出て来たハニは、スンジョの姿を見て戸惑った。
「ス・・・・・スンジョ・・・・・・・君。」
「来たんだろ?」
「うん・・・・・・」
スンジョはハニのおでこをピシッと叩いた。
「何か言う事があるだろう?」
「星屑湯で酔った私とスンジョ君が・・・・・・・」
「何もしていない。」
開いた口がふさがらないハニは信じられないようだった。
「だって・・・・朝起きたらスンジョ君・・・パンツだけ履いていたし・・私はキャミと下着だけ・・・・で、おばさんにもらったものを全部開けてあったから。」
呆れてものも言えない。
「下着だけだったのは、ハニがオレのズボンに手をかけた時に吐いたんだ。当然シャツも嘔吐物まみれだし、お袋からもらったのはお前が酔って全部開封して手当たり次第に投げた。それを抑え込もうとしたら、今度はお前が服を脱ぎだして、勝負下着に変わった。そのあと直ぐにイビキをかいて眠った。オレは匂いが少しでも取れるように汚れた服を洗って干してシャワーを浴びた。乾くまでハニの横に入っているうちに眠気が来て寝てしまった。」
「ホント?」
「本当だ、オレはハニにキス一つもしていないぞ。」
二か月近くもスンジョと思い出を作ったと思っていたハニは、思い出は思い出でも違う思い出を作った事が恥ずかしくなった。
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