スンジョの戸惑い 161
「アルバイト?」
「ああ、今日から親父の会社でアルバイトをする事になった。」
朝食を摂りながら、スンジョはハニに一緒に登校が出来なくなった事を話した。
「お金に困っているの?」
「いや・・・・・親父が疲れているみたいだから手伝うだけだ。」
「ハニちゃんもおじさんの会社でスンジョと一緒にアルバイトをする?」
ギョッとした。
お袋はハニの能力を過大評価・・・・・というより、ハニが何も出来ない事を知っているのか?
「やりた・・・・・・・」
「ダメだ。」
「どうしてダメなのよ。私だって、大学生になったんだからアルバイトをしたいわよ。」
「お前がやればかえって仕事が増えるだろう。」
「みんなに迷惑をかけないから・・・・ね?」
甘えた顔でオレに必死に頼んでいるハニのそのかわいい顔を見ると、ツイツイ言いたくなる。
ハニが失敗したらオレが助けるから・・・・・・と
「ハニちゃん、おじさんに言ってみたら?」
「おばさん・・・・いいんですか?」
「いいわよ。」
お袋が勝手に決めていいはずがないのに。
「お袋が勝手に決めるなよ。」
「スンジョはハニちゃんの保護者じゃないでしょ!」
保護者じゃない。
確かにそうだけど、ハニがどれだけ出来るのかお袋は判っていなんだよ。
「保護者じゃないのは間違っていないけど、だけどダメだ。」
「決めるのは社長であるパパよ。あなたは夫でも親でもないのよ。」
知っているさ、オレ達はただ付き合っているだけだという事を。
親父はここでの三人のやり取りで眠れなかったのか着替えて寝室から出て来た。
「いいよハニちゃん。明日からスンジョと一緒においで。ちょうど産休で秘書の一人がいないんだよ。お客さんが見えた時にお茶を出したり、コピーをとったり電話を受けたりするだけでいいから。」
飛び上がって喜んでいるハニを見て、満足そうにその様子を見ているスチャンを見てスンジョはため息を吐いた。
知らないぞ親父。
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