スンジョの戸惑い 164
わずか数時間の雑用をしただけのアルバイト。
ハニはその数時間で何をしたんだ?
コピーをしなければいけない書類をシュレッターに掛けたり、一枚だけコピーすればいいのに「99」枚コピーをしてしまう。
シュレッターにかけた書類は、パソコン内で保存しているから大丈夫だった。
コピーを「99」枚印刷した理由を聞いたら呆れた。
「100枚からカウントダウンして行くと思っていたんだもん。だからメモリが「0」になっていたから、「100」にしたのだけど、「99」しか数字が入れられなくて・・・・・・」
お前の頭の中が信じられないよ。
信じられないから、お前の頭ン中を見てみたいよ。
普通の人が思いもつかない事を、自分流にすべて都合のいい方に変える。
子供の様なくだらない悩みは、ハニの様に子供から成長をしていない純粋じゃないと出来ないな。
いや、最近の子供はハニよりももっとしっかりとしているかもしれない。
「スンジョのお蔭で、久しぶりに家族と同じ時間に夕食を摂れる。」
嬉しそうにそう言う親父に、跡を継がない事を決めたオレは申し訳なく思った。
本当は今日の様に、会社に行ってオレを後継者として紹介して少しずつ引継ぎをしたかったのだろうな。
「親父の仕事を少し減らして、減らした分を他の社員に回せよ。」
「そうしたいけど、あの書類の殆どをパパがやらないといけない決済の物ばかりだから。」
親父がすべてに目を通さなくても、経理課長や総務部で出来る物ばかりじゃないか。
最近疲れた顔をしているし、自分で抱え込まなくてもいいのに。
決済ばかりじゃない。
ゲームソフトのデザインや開発も、社員にもう少し任せればいいのに、あれじゃぁ親父一人でやっているようなものだ。
開発室と言っても、あの部署にいる社員の何人かは何もしない。
親父が体調を悪くした原因は、仕事の疲労とストレスだ。
なんとかしないと手遅れになってしまう。
スンジョがスチャンの会社でアルバイトをするようになってから、山積みだった机の書類もかなり減り、社長室から開発室が椅子から立ち上がらなくても見えるようになった。
何もかもが良い方向に向いて来た時、とんでもない事が怒った。
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