スンジョの戸惑い 168

青白く血の気のない親父の顔を見ていると、このまま親父の目が開かなくなったらどうしたらいいのか不安になって来た。

いつも笑ってオレ達を見守るような穏やかな顔しかオレの記憶にはない。

倒れて初めて身内が死と対面している恐怖を感じた。

ハニはうんと幼い頃に、こんな体験をしたんだ。

そんな事も気が付かないくらいに、明るくて素直で性格が真っ直ぐだ。

バタバタと二人の足音が聞こえて、勢いよくドアが開いた。

「ス・・・スンジョ・・・・・」

今にも倒れそうなお袋に付き添って来てくれたおじさんに、言葉では表せない感謝の気持ちを込めて軽くだけど会釈をした。

「パパは・・・・パパどうして・・・・・」

「会社でトラブルがあったんだ。」

「トラブルって・・・・・スンジョと何かあったの?」

震えているお袋の方を支えると、こんなに細い肩にオレは甘えて負ぶさっていたのかと思うと、申し訳なく思った。

「経理部長・・・・・・社長印を無断で押して、新発表をするゲームの特許を取るための書類を持ち出したんだ。」

「持ち出したのなら、返してもらえばいいじゃない。」

「そういう事じゃなくて、経理部長の家に行ったら家族もそんな事は知らなくて、特許権を出される前に見つけないとと思った時に倒れたんだ。」

口を押えて嗚咽が漏れないように、親父の手を擦りながら不安そうに泣いているお袋に、これ以上話す事は出来ないと思って、おじさんと一緒に廊下に出た。

「スンジョ君の書いたメモの物はハニが用意しているよ。とてもじゃないけど、奥さんがパニックになっていたから代わりに準備をして後から持って来るように言ったよ。」

「すみません・・・・おじさんに迷惑をかけて。」

「気にするな。今はお父さんが無事に回復する事だけを祈っていよう。」

おじさんは普段からオレの事を自分の息子の様に接してくれている。

親父の親友がこの人でよかったと、本当にそう思った。

その日の夜は、オレはこれからの自分の事も含めて、ウンジョやハニと三人で話す事を頭の中で囁いた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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