スンジョの戸惑い 176

「スンジョさん、ユン会長は中でお待ちです。」

開発室に戻ると、社長室の前で秘書が待っていた。

事前にユン会長が来社される事が知っていたら、親父とどんな話が進んでいたのかが判ったのに。

「お待たせしました。」

社長室のソファーにユン会長は座っていた。

「おお・・・君がスチャンの息子か。社長とは似ていないな。」

にこやかに話すユン会長が、何かスンジョに期待しているように眼だけが笑っている笑顔を向けた。

「君は確かパラン大学だったな。」

「はい、医学部に通っています。」

「医者になるのか?」

「出来ればなりたいです。」

「社長が自慢の息子だといつも言っていたが、医者になるのか・・・・・・会社を継がせたがっていたが・・・・」

そんな仕事とは関係のない話をしていると、ドアがノックされハニがコーヒーを淹れて運んで来た。

そそっかしいハニだが、子どもの頃から店の手伝いをしていたせいか、食器をトレイに乗せて運ぶのはサーカス団員の様に器用だとウンジョにからかわれていた。

「コーヒーをどうぞ。ミルクとお砂糖はどうされますか?」

「頼む。」

ユン会長はハニの顔をチラッと見て、スンジョの方を見た。

「この娘(こ)は、見ない子だね。」

「大学生のアルバイトです。」

「ほぅ・・・大学生のアルバイト。君の彼女か?」

ユン会長のその言葉に、ハニは嬉しそうに笑ってスンジョを見た。

彼女と紹介してほしい・・・・・とわかるくらいの笑顔だ。

「違います。」

感情のない顔でスンジョが答えると、一瞬にしてハニの顔色が変わった。

「スンジョさん、コーヒーはミルクもお砂糖もいらなかったですよね。」

ムッとしたスンジョに、ハニは小さく舌を出した。

「アルバイトなのに、よくスンジョ君の事を知っているね。」

「ええ、そりゃぁ私はスンジョさんの事は何でも・・・・・」

「オ・ハニさん!仕事に戻ってください。これから重要な話をするので。」

スンジョの気も知らないで、ハニは今度は舌をペロッと大きく出して社長室から出て行った。

「スンジョ君、君は彼女はいるのかね?」

「いません、勉強が大変なのでそういった人はいません。」

「そうか・・・・・」

ユン会長はその一言を言ったきり、あとはスチャンと話の途中だった融資金額についての話を始めた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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