スンジョの戸惑い 184
「家はこっちじゃないよ。」
自宅と反対方向に車が走っている事に気が付くと、子どもみたいに窓に張り付くようにして景色を見ている。
「寄る所がある。」
何を勘違いしたのか、ハニは胸を隠すようにしてオレを睨んだ。
「パパに結婚を許してもらったから・・・・・・・エッチな事をするつもりなの?」
「エッチな事?お前してほしいのか?」
「ち・・・違っていたの・・・・・・・」
ハニの妄想に時々ドキッとさせられるが、今までも何度も自分を見失いそうになるのを抑えられた。
結婚するからと言って焦る事も無いし、結婚すればいつでもハニとずっといられるのだから。
「親父の病院に行くんだよ。今行けば、お袋もいるから都合がいい。」
親父に言って、またお袋に言うなんて二度手間だ。
それに病院で話せば、お袋も大騒ぎをしないだろうから。
「おじさんたち驚くよね。でも・・・・・・・・会社、どうなるの?」
「ハニは、心配するな。大丈夫だから。」
もうハニを心配にさせたり、泣かせたりしない。
ハニがいるから気が付いた事や、ハニに教えてもらった事が沢山ある。
人は勉強が出来るとか出来ないとかで判断をしてはいけない。
生きて行くためには、人は一人では何も出来ない。
心が疲れた時には、ただ黙って笑って見てくれるハニが隣にいるだけでいいのだから。
美人だとか頭がいいとか健康だとか、財産があるとかはそんな事も必要ない。
親父とお袋に、会社の為に見合いをした事を話した。
二人とも知っていた。
それが間違った判断でも、何時か気が付くと思っていたから何も言わなかった・・・・と。
もし気が付かなければ、話をしようとも思っていた。
会社の為に大切な息子を金で売るような親でもないし、社員たちもたとえ給料がもらえなくても、好きで入った会社だからいつまでも待ってくれると言っていたと、親父が教えてくれた。
勿論、ハニの事も話した。
高校生の時の延長のような、プラットニックな付き合いから結婚を前提に付き合って行く事に決めたと話した。
お袋は涙を流して、念願だった『ハニが本当の娘になる事』を喜んで、声を上げて泣いていた。
勿論本当の娘になるわけでもなく、オレの妻になるのだということだが、ファン・グミの中にはペク・スンジョとペク・ウンジョの存在が半分以下なのが、お袋らしかった。
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