ハニの戸惑い 5
「ほら、待っているみたいだぞ。」
「行くね。」
「帰りに病院に行くから、医学棟のラウンジで待っていろよ。」
「うん、行くね。」
ミナとジュリの方に走って行くハニの後姿を見て、スンジョはフッと笑みを浮かべ医学棟の方に向かった。
アイツ、自分が妊婦だって自覚してないのか?
走らなくても、ミナとジュリは待っていてくれるから。
「ミナ~!ジュリ~!」
「ハニ!走ったらダメだよ。」
ミナとジュリは走ってくるハニに驚いて、ベンチから立ち上がった。
「へへ・・・・」
「へへ・・じゃないよ。座って座って。」
ミナとジュリに手を引かれて、ハニはベンチに腰かけた。
ジュリは既にミナから聞き、まだ全く目立たないハニのお腹にそっと触れた。
「あのハニがお母さんになるんだ・・・・・結婚より先にデキちゃうなんて・・・ハニだけなら納得出来るけど、あの完璧人間のペク・スンジョがねぇ・・・・・・・」
「何よ・・・・何が言いたいのよ。」
「ジュリとも言っていたのよ、ペク・スンジョは大学に入ってハニ以外の女の子と関わらないようにしたのだろうかとか・・・・医学部で勉強するには彼の性格上、完璧を求めるからきっとかなりのストレスになるから、それを癒すためにハニと既成事実を作ってそのまま結婚するのかなって・・・・・・」
「なんだかよく判んないけど、私はスンジョ君だけが頼りだから、何もかもお任せなの。」
そう言うハニの顔はキラキラと輝いていた。
「で・で・で・・・・いつ産まれるの?」
「まだ判んない・・・スンジョ君は大体計算して分かっているみたいだけど、まだちゃんと病院で検査していなくて・・・・・今日学校の帰りに病院に行くの。」
「そっかぁ・・・ペク・スンジョの頭ならハニに赤ちゃんが出来たのもいつ産まれるのもすぐに計算が出来るよね。」
短い休憩を貰って来たジュリは、ハニにお祝いを言うとまたすぐ仕事に戻って行った。
「辛い時は言うんだよ。」
「大丈夫だよ。辛い事なんてないから。」
「今は無くても、ほら悪阻とか始まると大変だっていうし・・・・お腹が大きくなったら、ハニが転んだりしないようにしないといけないでしょ?」
「大丈夫だって!そそっかしいけど、大好きなスンジョ君の赤ちゃんがお腹にいるんだから。」
ミナは言おうかどうしようか迷って、ハニの耳に口を近づけて言った。
「朝さ、ハニと会った後にペク・スンジョから電話があって、ハニを助けてやってほしいって。彼、変わったよね。」
知らなかった。
スンジョ君はいつも知らない所で、私を守ってくれている。
そう言う事があるから、安心出来る毎日が過ごせるのかもしれない。
ありがとうスンジョ君。
それにミナもジュリも、私の友達でいてくれてありがとう。
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