ハニの戸惑い 7
「大丈夫か?」
「うん・・・呼ばれたんだよね。」
「落ち着いたらでいいって、さっきトイレに来る時に看護師が言っていた。」
ツワリが始まるにはまだ早い。
スンジョは心配そうにハニを支えて、トイレから呼ばれた診察室にハニと一緒に入って行った。
「オ・ハニさんね・・・・・それと・・・君はこのお腹の子供の父親?」
「はい。」
スンジョ君にダンナ様かと、先生は聞かなかった。
判るよね。
カルテには未婚と書いたのだから。
「どうされますか?」
「どうされますかって・・・・・・どう・・・・」
私は先生の言っている意味が解らなかった。
中年の女医さんだけど、私の事をいい加減な女の子と思ったのかなぁ。
「勿論、産みます。」
女医さんは、それまで無表情だったのに、クスッと笑った。
どうして?学生だから遊び半分だと思ったの?
「スンジョ君も大人になったわね。あの赤ちゃんがパパになるなんて。」
はっ?
スンジョ君の知り合い?
スンジョは口をポカンと開けているハニを見て、ニヤッと笑った。
「パク先生って言って、オレとウンジョが産まれる時に取り上げてくれた先生だ。」
「そうそう、ついでにスンジョ君のお母様のグミちゃんも、彼女くらいの年齢の時に初診で来たのよね。<両親が結婚を許してくれないから、作っちゃいましたぁ>って。」
「はぁ・・・・・・」
「グミちゃんはね私の親友の妹なの。スンジョ君もすごい記憶力よね。ウンジョ君が産まれた時に担当した事を覚えていて、今日の診察予約を入れたのだから。」
スンジョ君は、見えないところでいつも私を守ってくれる。
パク先生は、電子カルテに入力しながら検査結果を見ていた。
「よく、この早い時期に妊娠がわかったわね。計画的なの?」
へっ?そうなの?
「まぁ・・・彼女のバイオリズムを記憶しているので。母には内緒にしてください、面倒ですから。」
なにも言わないけど、パク先生はニコッと笑っていた。
「ツワリが酷いんですけど。」
「ツワリというよりは、初めての事で精神的に不安になったから吐き気があったのでしょうね。気持ちが安定したら治まると思いますよ。ただ、その頃からは本当のツワリが来ると思いますけどね。」
私は一応沢山吐いたから点滴をしてもらい、その間ずっとスンジョ君は側にいてくれた。
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