ハニの戸惑い 8
パク先生とスンジョ君は知り合いだったから、優先的に先生の診察枠に入れてくれたらしい。
有名な先生で、予約を取る事が難しいとスンジョ君は教えてくれた。
ハンダイとペクだけで予約が取れるなんて、改めてスンジョ君の家の力が大きい事に気が付いた。
「どうかしたのか?」
「信じられないな・・・このお腹に赤ちゃんがいるのは。」
「だな、でも生まれるとは限らないぞ。」
「えーなんでそんな事を言うのよ。」
どういう意味?
スンジョ君はさっきの先生との話では計画的だった様な事を言っていたのに、赤ちゃんも産んでいいよとも言ってくれたのに、私がバカだからうれしくないの?
「うれしいよ。ハハ・・・聞こえていたぞ。」
そっか・・・余計な心配していたんだ。
「余計な心配はしなくていいわけじゃない。お前はオッチョコチョイだから、誰も躓かない所で躓いて転んで・・・・・・って事があるだろう。」
私は又思っている事が声に出ていた事に気が付いて、手で口元を隠した。
声に出ていなくても、スンジョ君は私の言おうとしている事をみんな判ってしまう。
「安定期に入って落ち着いたら、ハニのお母さんのお墓に報告に行かないとな。」
スンジョ君の大きくて温かな手が、まだ膨らんでいないお腹に触れた。
たったそれだけなのに、すごく不安だった気持ちが楽になって来た。
「食事できそうか?」
「微妙・・・・・・」
「ハニが診察中、お袋からメールがあったよ。間違いないと思って、おじさんのお店を借り切ったって。」
グミの素早い見切り発信は、相変わらず空振りする事もあるが、今回の見切り発信は珍しくヒットした。
数日前から食事の準備中に吐いている姿を見ていたから、グミは絶対に妊娠していると確信していた。
スンジョが会計をしている間、ハニはベンチに腰かけてずっと思っている不安を思い出した。
赤ちゃんが出来たけど、結婚してくれるとは言ってくれなかった。
同じ家にいるのにこのままなのかなぁ。
大学を出てから結婚をするって言っていたけど、まだ一年だからずっと先だ。
スンジョ君は医学部だから6年まであるし、私は頭も悪いし赤ちゃんを産む時に勉強が遅れて留年するかもしれない。
その間に、スンジョ君が他の人を好きになったら、私は・・・・・・
「おい、行くぞ。」
涙が出そう。
0コメント