ハニの戸惑い 9

ハニは戸惑っていた。

これからの事はまだ何も決まっていない。

ただ一つだけ決まっているのは、新たに芽生えた小さな命を、この世の中に絶対に誕生させる事。

新たに芽生えた命を、この世の中に誕生させる事は、自分自身はなにも知らない事ばかりで不安がいっぱいだが、スンジョはもちろんギドンやグミとスチャンも今日の結果を待っている。

小学校5年生の時だった。

普通の家庭なら、そんな時は母親に話していただろう。

学校で女子だけを集めて、保健室の先生から聞いた話。

「女の子のお腹には、いつかお母さんになるために大切な物があります。」

出産に至るまでのビデオや、女性の体の構造が細かく書かれた絵を見せられた。

「私達のお腹の中には、子宮と言う赤ちゃんをこの世に誕生させるまで、大切に育てる部屋があります。そのための準備として、ちょうどあなた達の年齢になると、初潮を迎えます。」

先生がそう言った時何人かの女の子が、『私もう大人になったよ』と言っているのが聞こえた。

「そうですね、もう始まった子もいるみたいですね。驚いたでしょ?」

驚いた?

私は何も知らなかった。

「うん、血がいっぱい出て下着が汚れたの。」

「お腹も痛くて。」

「病気かと思って、私のパパはお医者様だから見てもらったよ。」

私は血が嫌いだ。

ママが亡くなる少し前、よく沢山の血を吐いていたから。

大人になる話を聞いた後、それがお母さんになるために通らないといけない事だと判っても、ママのいない私はその時が来たらどうしよう、誰に話したらいいのか判らなくて不安だった。

「ハニ、どうしたの?帰ろうよ。」

その話を聞いたからなのかな?お昼頃からお腹が痛くて、給食もあまり食べられなかった。

友達と別れて、あの頃はまだ小さなお店だったから裏口から入って直ぐに、お店にあるトイレに行った。

「あっ・・・・・・」

真っ赤な血が下着に付いていて、それをどうしたらいいのか判らず、みんなみたいにママがいないから準備がされていなかった。

どうしたらいいんだろう・・・・・・

やっぱりこんな事は恥かしくてパパに言えない。

トイレにあるティッシュを何枚も重ねて、新しい下着に当てた。

厨房にいるパパに見つからないように、汚れた下着を小さく丸めてお風呂場に走って行く時、パパが声を掛けたけど返事をしないでそのまま下着を洗った。

「ハニ・・・どうしたんだ、ただいまも言・・・・・・・」

隠しようもなかった。

「そうか・・・・ハニもそんな年になったんだな。ゴメンよ・・・パパは気が付かなくって・・・・まだ店が始まる前だから買って来てやるよ。」

恥ずかしかった。

今までパパにそんな事を思わなかったのに、あの時から恥ずかしくて自分の着替えは自分で洗うようにしていた。

「どうかしたのか?お前が無口だと言う事は、また良くない事でもを考えているんだろうな。」

「違うよ。子供の時の事を思い出したの。」

スンジョ君はこの子供が女の子だったら、私のパパのような時どうするのだろう。

店のドアを開けると、パパが私の顔を見て嬉しそうに笑っていた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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