ハニの戸惑い 11
スンジョ君の初めて聞く冗談に驚いたのは、私ばかりではなくおじさんもおばさんも驚いていた。
それよりももっとみんなが驚いたのは、私の妊娠がはっきりと診察をして決定的なのにスンジョ君が結婚式はまだ挙げないと言った事。
妊娠したと話した時に、産んでもいいと言ってくれたから、私は結婚式も何も考えずに普通に挙げるものだと思っていた。
「お兄ちゃん、それじゃ・・・・・赤ちゃんは認知しないの?」
「誰が認知しないと言った?オレは、結婚式は挙げないと言っただけだ。子供が産まれる頃には20歳になっているけど、オレ達はまだ学生で親の援助なしでは生活すら出来ない。」
「援助なんて、そんな事どうでもいいじゃない。」
おばさんにしたら、いつも私を娘にしたいって言っていたから、付き合い始めた時に結婚までの筋道を作っていたのかもしれない。
やだ・・・・・涙が出ちゃった・・・・・
「スンジョ君・・・私・・部屋で休みたい・・・・」
「吐き気はないのなら、もう少し話を聞いてくれよ。」
「スンジョの話なんてどうでもいいわ。あなたがハニちゃんにした事を考えて。子供は認知するけど結婚式は挙げないって・・・・子供を母親から取り上げると言うの?」
興奮気味に話すグミに、スチャンは落ち着くように椅子に腰かけさせた。
「まぁ・・・・ママ座って、とにかくスンジョの考えをまず聞きなさい。ギドンも済まない・・・・スンジョの話を聞いてくれるか?」
「ぁぁ・・・・・・」
さすがにギドンも娘のハニの事を思うと、スンジョの考えている事を冷静に聞けるのか不安だった。
「恵まれた環境でここまで何不自由なく過ごしてきたけど、ハニと結婚がしたいと思った時に、本当は一度家を出て自分で稼いだ金で生活をしようかと思っていた。自分でバイトをして稼いだお金で遣り繰りして、医学部の勉強は大変でも、それよりも医者になってからの方がもっと大変だからそのために家を出るつもりだった。そんな時、ハニとおじさんと一緒にオレ達家族が星屑湯に行って、親同士了承で二人だけ星屑の宿のあの離れで過ごした二晩、お袋の話を聞いたからではないが、あの時オレとハニの子供が無性に欲しくなった。」
し・・・知らなかった。
それなのに、あの時私は湯あたりしたり酔っぱらったり・・・スンジョ君のズボンを汚したり・・・
「で、あの後二人で泊まった時に・・・結婚式を挙げなくても別に問題はない。オレとハニはお互いを必要としているから、この先もずっと気持ちは変わらないから子供が欲しくて計画したんだ。」
相変らずスンジョ君の言っている意味が、私には判らない。
「式を挙げなくても、籍だけ入れれば別に問題ないと思うが・・・・」
「はっ?籍だけ入れるの?」
グミの裏返った声が、スンジョの話が理解できないのはハニだけではない事を知った。
「式は式だけの事で、別に結婚しないわけじゃない。大体大人数の前で注目を浴びて、結婚の誓いを言うのなんて、オレの性分じゃない。入籍だけしてもそれが結婚になるのだから別にいいんじゃないかと思った。したけりゃオレが大学を出てからでもいいと思うけど、違うか?」
確かにスンジョは『結婚式は挙げない』とは言ったが『結婚はしない』とは言わなかった。
0コメント