ハニの戸惑い 17
全ての授業が終わったら、いつもの場所で待っているんだぞ。
何度も念をおされて、そんなに大切な事なら家で話してもいいのだけど、おばさんには絶対知られたくないとスンジョ君は言っていた。
妊婦は眠くなるとスンジョ君が言っていたけど、私はそうでなくてもすぐに横になると眠れる。
スンジョ君が結婚式を挙げないと言っていた事が気になって眠れそうにないと思っていたけど・・・・・なんだか眠れそう。
ハニ、ハニ・・・・
起きて・・・・
誰?
この声、ずっと前に聞いた事がある
ハニ、ハニ・・・・・
判らないの?
こっちよ
霞がかったずっと向こうに、優しく微笑む女性が立っている。
誰?
懐かしいけど思い出せない
手を出して触れても何も思い出せない
顔を見ようと思っても、ちゃんと顔を見ているのに顔が判らない
誰?
ハニ、判らない?
毎日、お絵かきをして待っていたよね?
パパは今日もお仕事をして大変ねって・・・・
ハニはいつも窓から顔を出して、パパが裏口のドアのガラスに写る姿を見ていたよね
ママ?
そうよ・・・・判った?
ハニは忘れっぽいから、ママの事を忘れたのよね
忘れていないよ、ちゃんと覚えているよ
ママね、ハニに言いたい事があるの
なぁに?
お母さんになるのよね
知っていたの?
知っているわよ
いつもハニの傍で見ているのに、ハニは気が付かないのだから
へへ・・・
ハニはママみたいに、愛する旦那様や子供を残して逝かないでね
逝かないよ
ハニに教えてあげる事が沢山あるのに、何も教えてあげられなくてゴメンね
ハニ、沢山ママに聞きたい事があったの、赤ちゃんが産まれても誰に聞いたらいいのか判らないよ
大丈夫よ、おばさんがハニをいつも大切にしてくれているから、何でも聞いてね
ママ・・・・ママ・・・・・もっとママに聞きたいの・・・・・
顔は見えないままの姿がドンドンと離れて行く。
手を伸ばして呼んでも、顔は見えないのにただ笑っているのだと判るだけ。
「ハニ・・・ハニ・・・・おい、ハニ・・・大丈夫か?」
身体を揺すられて、目を開けるとスンジョが心配そうに覗いていた。
その隣で、グミもスンジョと同じようにハニを見ていた。
「スンジョ君・・・・・おばさん・・・・・」
「お前、魘されて(うなされて)いたぞ、大丈夫か?」
「魘されていたの?私・・・・・・」
「そうよ、スンジョが、ハニちゃんが汗を掻いて魘されているって教えてくれたの。」
パジャマも汗で濡れている事が判るくらいに汗を掻き、髪の毛も身体に貼りついていた。
「風邪を引かないように、シャワーに入って着替えた方がいいわ。」
夢で見たママはおばさんに何でも聞いてと言っていた。
きっとママがおばさんに私の事を頼んだのかもしれない。
温められたバスルームで、シャワーを浴びて洗濯をしたパジャマに着替えると、今度は朝までぐっすりと眠れた。
0コメント