ハニの戸惑い 19
もうみんなの視線には慣れたけれど、大学の授業は人それぞれ取る授業が違うし、外部からの学生もいるから、事情が知らない人があの掲示板を見たら、私の事をよく言わない人がいても仕方がない。
パラン高校から来た人は、私とスンジョ君が同じ家に住んでいて、高校の時から付き合っている事も知っているけど、外部から来た人はスンジョ君と私が付き合っている事を知らない人が殆どだ。
付き合っていると言っても、同じ家にいるのだから言葉は違う、とスンジョ君は言っていた。
最後の授業が終わって、教材をカバンに片付けていると、朝から同じ人が私に何か言いたそうにしていた。
人からの噂は気にするな。
スンジョ君はそう言うけど、私は結構気にするんだよ。
「あの・・・・・・」
顔を上げると朝からずっと私を見ていたこのグループの人が私の周りを囲んだ。
「聞いてもいい?」
「え・・・えぇ・・・・・」
「掲示板の事・・・・本当?その・・・妊娠したって・・・・」
「ええ・・・まぁ・・・・」
明らかに私に好意的じゃない言い方をしている。
「誰の子供?」
やっぱり・・・そうだ・・・・疑っているんだ。
「誰って・・・・・・・私・・・・・・・」
何故なのか、スンジョ君の名前を出したくなくて言葉を誤魔化したのがいけなかったのかな?
「やっぱり、違うんだ。」
えっ?
「誰の子供か判んないのに、ペク・スンジョ君の子供にしたの?」
なに?なんの事?
「酷い女ね。バカだから誰でもよかったって言うの?」
怖い・・・・・ミナもジュリもいないし、今の授業は殆ど外部の高校から来た人で、私の知っている人はいない。
「誰の子供よ。」
数人の人だけだったのが、最初に話し始めた子たちの周りをまた別の人たちが集まって、また大きな塊になり、まるで私が悪い事でもしたかのように、睨むような目で私を睨んでいる事が判る。
どうしよう・・・・・
ちゃんと言おうと思えば思うほど、言葉が声に出ない。
助けて・・・・スンジョ君助けて・・・・・
目をギュッと瞑って下を向いていると、ザワザワしていた声がサッと引いた。
そして、周りを囲まれて暗かった床に外から射し込む光が見えて来た。
「すんませんなぁ・・・・食堂から差し入れを持って来ましたぁ。」
えっ?ジュング?
「すんません・・・すんません・・・・オ・ハニはどこにおりますかのぉ~」
ジュングの大きな声であまりはっきりと聞こえなかったけど、かすかに聞こえた言葉はジュングを見下していたいい型だった。
「食堂の男の子じゃない?いつも仲良くしていたから。」
その言葉がジュングに聞こえていないといいなと思って、私は顔を上げた。
「ハニ!そこにいたの?」
ジュングだけじゃなくて、ミナも一緒に私を探してくれていた。
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