ハニの戸惑い 20
「ハニ、待っていたのに食堂に来ないから迎えに来たよ。」
「すんませんなぁ・・・・ハニをみんなで守ってくれて。」
最初に話していた子は、ジュングとミナが何も咎めないでいる事に気まずそうな顔をしてその場を離れると、一人二人と離れて行った。
「何か言われたんでしょ?」
「言われていないよ。無理をしないでって・・・・皆いい人たちだよね。」
ハニはたとえそうでも、嫌味を言われたと言う事はない。
それはミナもジュングもよく知っている。
「食堂に行く約束ってしていたっけ?」
「してないけど、たまたまジュングと話が合ったの。ハニの様子を見に行こうかって。」
「来てよかったよ。」
私はいつまで経っても人に助けてもらわないと、何も出来ない頼りない人間なんだよね。
「今日ね、これからジュングとジュリと四人で甘い物でも食べに行こうかなって誘いに来たの。」
教室を出てからも、色々な人たちがヒソヒソと良くない事を言っているのが判る。
「折角誘ってくれたのにゴメンね。スンジョ君と約束したの。」
「そっかぁ・・・・仕方がないよね。赤ちゃんが出来たから結婚式とか、いろいろ準備もあるだろうし。」
「ゴメンね、ミナとジュング・・・・・」
「残念だけど、仕方ないわな。ハニがずっと片想いしていたペク・スンジョと、こうしてその・・・・・まぁ・・・・オレ達よりもペク・スンジョと一緒にいた方が良いに決まってる。」
「ゴメンね・・・ゴメンね・・・・」
困った時にいつも助けてくれるミナとジュングには本当に感謝している。
私達は決して頭は良くなかったけど、一度も喧嘩はした事もないよね。
二人がいてくれたから、スンジョ君と内緒の付き合いも出来たし、修学旅行も色々と一緒にいられるように考えてくれて。
それに、ジュング・・・ジュングの気持ちも判っていたよ。
ずっと私の事が好きで、私を助けてくれていたって。
私がスンジョ君を好きな年数、ジュングも私を好きでいてくれたって。
ハニは、ミナとジュングと別れてスンジョと約束していた場所に向かった。
二人のいつも待ち合わせをする場所は、隠れた場所でもなくむしろ人目に付きやすい場所だったのにも関わらず、そこにいても誰も声を掛けたりしなかった。
いつものベンチに座り、広場でバドミントンをしている人や芝生の上に座って話をしている人に寝そべっている人。
ボンヤリと見ていれば、時間は長く感じられない。
「待たせたか?」
「スンジョ君・・・・・」
スンジョはハニの横に腰かけた。
話があると言っていたが、何も話さずハニが見ていた芝生で寛いでいる人達をスンジョも見ていた。
「あの・・・・・話って・・・・・・」
「あぁ・・・・二人で・・・二人だけで結婚式を挙げないか?」
突然の事に、ハニは横にいるスンジョを見るが表情も変えないでずっと芝生の方を見たままだった。
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