ハニの戸惑い 27
ドレスをスンジョ君が見つからないように持ち、自分の部屋に隠してくれた。
でも、ちょっとだけ見たくて、スンジョ君の部屋を探してみる事にした。
おばさんはいないよね・・・・・・ウンジョ君と買い物に出かけたから。
「スンジョ君・・・・スンジョ君・・・・・・出かけたのかな?」
ドアに耳を当てて、部屋の様子を伺うが物音一つしない。
出かけるなんて言っていなかったけどなぁ・・・・・・
「失礼しまぁーす。」
静かにドアを開けてスンジョの部屋に入ると、何度もここに入った事はあったが、ドキドキとしてくる。
スンジョらしく、綺麗に片付けられ若い男の子特有の汗臭い臭いもこの部屋では臭った事はなかった。
何だろ・・・・・あれ?・・・・どうしたのかな・・・・・
スンジョ君は無臭というより、いい香りなのに・・・・・・・気持ち悪い・・・・・
ちょっとだけ、スンジョ君のベッドを借りよう・・・・
休めばよくなるよね・・・・
何度もふざけ合っていたスンジョ君のベッド・・・・・
ダメ・・気持ちが落ち着くはずが・・・・
強い吐き気を抑えきれそうにもなく、ハニはそれでもここで吐いてはいけないと思いトイレに駆け込んだ。
二階にもトイレがあった事が良かった。
便器のふたを開けてすぐにハニは嘔吐した。
苦しぃ・・・・・・苦しぃ・・・・・・
吐いて口を濯いでまた吐いて
何度も吐いているうちに、胃の中は空っぽになって出て来る物は何もなかった。
あまり何度も吐いたから、ハニはそのまま洗面台の下にしゃがみ込み、そのあと意識が無くなった。
どこか遠くでスンジョの呼ぶ声が聞こえる。
「・・・・・ハ・・・ニ・・・・・・ハニ?」
顔を柔らかな羽根が触れた気がして目を開けると、スンジョが心配そうに見ていた。
そんな心配そうなスンジョとは反対に、ハニは嬉しそうに微笑んだ。
「スンジョ君・・・・・何か用?」
「何か用・・・じゃない。本屋から帰ったら、お前が洗面台の所で倒れていた。」
そうだ・・・スンジョ君の部屋に行ったら急に気持ち悪くなって、少しスンジョ君のベッドで休めばよくなると思っていたけど、よくなるどころか我慢できなくてトイレで何度も吐いたんだ。
ハニはその事をスンジョに伝えると、特に心配しなくてもいいと言った。
「つわりが始まったんだ。」
「これがつわり・・・・・・・」
「ドレスを見に行って、ドレスに吐かなくてよかったな。結婚式の日取りはもう少し先にしようか。式の最中に吐いて中断したら、神様も嫌だろうから。」
ちょっと残念だけど、結婚式を挙げないわけではないから、それほど不安にはならない。
「もう少し休んでいろよ。」
そう言ってスンジョ君が私を優しく抱いて、ほのかに香るスンジョ君の良い香が・・・・・・・・・・
また、私は吐き気をもよおした。
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