ハニの戸惑い 28
「ゴメンね、ゴメンね。」
「いいよ・・・・とは言えないよ。臭いが取れないじゃないか・・・・・」
服ごとシャワーを浴びているスンジョに、ドア越しにハニは謝り続けていた。
帰宅したグミとウンジョは二階のバスルームから聞こえる、スンジョとハニの声に驚き息を潜めて聞いていた。
「ママ・・・お兄ちゃんたち、お風呂で何をしているんだろう。」
「お子ちゃまには言えない、恥ずかし~い事でもしているんでしょ?」
グミは水の音にかき消されているが、時々聞こえる二人の言葉に完全に誤解をしていた。
「ママ・・僕、心配だからちょっと見てくる。」
見に行かない方がいいというよりも早く、ウンジョは階段を駆け上がりバスルームのドアを開けた。
「何しているの?」
「あっ・・・・その・・・・」
シドロモドロになり顔を赤らめているハニに、まだ子供のウンジョも何かを感じてしまった。
「まぁ~そうなの、お兄ちゃんも災難というか、今までの行いの報いね。」
「放っといてくれよ!オレの身体の臭いがダメだなんて・・・・一緒に暮らせないじゃないか。」
大きな声で笑うグミに、ハニは申し訳なさそうにただひたすら謝っていた。
そんな時、偶然帰宅が一緒になったスチャンとギドンは、賑やかな様子の四人の会話の中に入って来た。
「随分と楽しそうだけど、何かあったのかね?」
「あら!パパにギドンさん、お帰り。あのね・・・・ハニちゃんに悪阻が始まったのだけど・・・・・・・食べ物の匂いで吐き気を催すわけじゃなくて、スンジョの体臭がダメみたい。」
不貞腐れているスンジョとハニは、食卓の場所もそれぞれが全く反対の方に場所を変えていた。
「体臭って言うけど、オレそんなに臭いのある物は使っていないぞ。」
スチャンとギドンはお互い自分の身体に鼻を当てて自分の臭いを嗅ぎ、二人揃ってハニの方を向いた。
「ハニ、パパの臭いはどうだ?」
「ハニちゃん、おじさんの臭いはどうかな?」
恐る恐る二人の傍に近寄り、深呼吸をして二人の身体の匂いを代わる代わる嗅いだ。
「大丈夫みたい・・・・」
「まぁ~スンジョ、可哀想ね。自分の子供が産まれるのに、スンジョの臭いだけがダメだなんて・・・・・、キスも出来なければ、一緒のベッドに眠ることも暫くできないわね。」
「ずっとじゃないからな。悪阻が治まればどうってことないさ。」
スンジョ君はそう簡単に言うけど、二人っきりの結婚式が伸びたら、このままあのドレスを着る事もなく、赤ちゃんが産まれちゃう事になる。
何度も着られないウエディングドレスが着られないのは、なんだか悲しい・・・・・
ハニはスンジョの隣に座って食べていた食事も、離れた席で食べる事になり、チラチラとスンジョの顔を見ながら、不貞腐れている感じのスンジョに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
0コメント