ハニの戸惑い 31
「本当に何か隠していたの?」
もう遅かった。
おばさんの話術に掛ってしまって言わなくてもいいのに『どうして・・・』と言ってしまった。
何も隠していないと言えば、それで通せたのに。
「隠し事は、お腹の赤ちゃんにもよくないわ・・・・話してすっきりとしてみない?ハニちゃんは隠し事が出来ない子だったでしょ?」
モジモジとしていたハニに運が味方したのか、それともタイミングが良かったのか、車は病院に到着し、話は中断して駐車場に入る事になった。
混雑しているパラン大病院。産科は二階に上がった所にある。
いつもはスンジョと来る産科の外来。
看護師の中にはスンジョが来る事を期待して、交代になっているのに残務整理として残っていたが、ハニと一緒に来たのがグミであったことにガッカリとしていた。
「こんにちわ、ペクですけど、パク先生ですよね、家の嫁の担当の先生は。」
「ええ・・・・」
「今日は息子じゃなくて、私ですけど先生にそう伝えていただけますか?二人の息子を産む時もパク先生だったので、お会いしたくて付いて来てしまったの。嫁は息子の体臭に吐き気をもよおして・・・・・・」
延々と続きそうなグミの話に苦笑いして、一応ハニの夫のスンジョの母だと名乗っていたから、顔をひきつらせてはいるが笑顔を作っていた。
ハニの順番になると、いそいそとハニに付いて診察室に入って行った。
「パク先生、嫁がお世話になっています。」
「おばさん、まだ嫁では・・・・・・」
「いいのよ、式は挙げていなくてもスンジョの子供を産んでくれるのだから。
コソコソと話をしている二人を、パク先生は笑って見ていた。
「グミさんは相変わらず、お美しくて変わりないですね。」
「まぁ~先生ったら・・・皺がここに出来たんですよ。それに息子の嫁に子供が出来て・・・・・おばあちゃんですよ。」
「あのスンジョ君が、パパになるのですからねぇ~。私の取り上げた子供の中で一番綺麗な子供で二番目がウンジョ君ですからね。お嫁さんのお腹の子供も期待しているんですよ。」
え~、期待してるの?
私に似て、ブスで頭の悪い子供だったらどうしよう。
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