ハニの戸惑い 37
あれ?
私って・・・・今、起きているよね。
スンジョ君が傍にいるのに、気持ち悪くならない。
「お休み・・・」
もう一度スンジョはハニのおデコにキスをした。
い・・・行っちゃう・・・・・
待って・・・待って・・起きているよ私。
聞こえないのかな?
あ~あ~
声に出しているのにスンジョには聞こえていないのか、チラッと振り向いて寂しそうにしている顔が見えた。
パタンとドアが閉まる音がした時、ハニはガバッと起き上がった。
「夢?」
夢だったのか現実だったのか、ハニは自分が寝ぼけていたのかもはっきりしなかった。
夢の中では、大きくなってきたお腹をそっとスンジョが触れていた。
スンジョが夢の中で触れていた辺りをハニは自分でもその場所に手を置いた。
何だか本当にスンジョ君が触っていたような気がする。
もうスンジョ君と三ヶ月も直接話していない。
いつもスマホ越しに聞いていたスンジョの声が、いつになったら向かい合って話す事が出来るのだろう。
ハグしてほしいな・・・・キスしてほしいな・・・・手を繋いでほしいな・・・・
そんな事ばかり考えていたから、リアルすぎる夢を見たのかもしれない。
その時お腹が引っ張られる感じがした。
グググッと捩れるように、痛いと言うより違和を感じた。
パパの部屋に行けばいいけど、深夜に帰って来て今は寝付いたばかりだし、朝は早いから起こすのは可哀想。
下の階に降りて行っておばさんを起こすのも悪いし・・・・・
どうしよう・・・・・・・
スンジョ君もこの時間は眠っているし・・・・・
い・・・・痛い・・・・・ような・・・・・
怖いような・・・・・・
「ス・・・・スンジョ君・・・・・・スンジョ君助けてぇ!」
夜中だというのも忘れて、ハニは大きな声で叫んだ。
「助けてスンジョ君・・・・・・お腹が・・・・お腹が・・・・・・・」
そう叫んで数分もしないうちに、スンジョの部屋のドアが開き、下の階に眠っているグミたちの部屋のドアが開いた。
「ハニ!どうした!」
「お腹が、変なの。」
「お腹が変?」
掛け布団を上げて、ハニのお腹に触れたスンジョの手が、さっき感じたものと同じだった。
「お腹が、グググッと引っ張られて、痛くないんだけど変なの。赤ちゃんに何かあったのかもしれない。」
グミとスチャンとギドンは、ハニとスンジョが向かい合っている光景を見て、ニッコリと笑った。
「ハニちゃん、お兄ちゃんが傍に来ても大丈夫みたいね。」
「本当だ、お前オレが傍に来ても吐き気が起こらないみたいだな。」
「忘れていたわ。」
「お腹が引っ張られたのは胎動だ。もう5ヶ月に入ったから胎動を感じる時期だ。心配する事はないよ。」
温かいスンジョの大きな手がお腹にまた触れると、グルグルッとお腹の中の赤ちゃんが廻っている事が判る。
「良かったわね、ハニちゃん。これで、スンジョと一緒にどこにでも行けそうね。」
夢だと思っていたのはもしかしたら夢ではなく現実だったのかもしれない。
今、ここでスンジョが来た時の事を言えば、またグミにからかわれて喧嘩になってしまう。
スンジョもハニが眠っていると思ったから、心に秘めている事を言ったのだ。
あれは、夢にしておこう。
私と赤ちゃんの二人だけの秘密にしておこう。
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