ハニの戸惑い 38
昨晩は、二ヶ月ぶりに生スンジョと話が出来た事で、朝の目覚めはスッキリとし、ハニは幸せな気分だ。
ちょっと前からマタニティウエアを着るようになって、クローゼットの中にはグミが買い揃えたマタニティウエアがずらりと並んでいた。
そのクローゼットの中は、店でも出来そうな位の数の洋服が並んでいた。
娘が欲しかったグミにとって、まだ結婚はしていないがハニが妊娠した事でさらにその想いはパワーアップしている。
「今日は、これ着ようかな?」
大学へも、今日からスンジョと一緒に行く事が出来る。
まるでデート気分のハニは、スンジョの好きなグリーンのワンピースを選んだ。
「さぁ、今日も元気で・・・・・ファイティン!」
そう声を出して言うと、お腹の中の赤ちゃんもゴロンと動いた。
「あなたも、一緒に頑張ろうね。」
部屋のドアを開けると、突然スンジョの大きな声が聞こえて来た。
「何だよ!朝っぱらからこんなに食べられるか!」
「食べてもらわないと。今日は朝からお祝いよ。」
「お祝いだって?」
危ない雰囲気の朝食の空間で、ウンジョとスチャンは妻と息子の険悪なムードに緊張しながら無言で食事に集中していた。
この場を和ますのは、自分しかいないとハニはそう思い、張り切って胸を張り階段から一歩前に出た・・・・・・・・ところが・・・・
ドッスン!
「キャー」
大きな音と悲鳴で、その場にいた四人は音の方を向いた。
「ハニ!」
「ハニちゃん!」
スンジョとグミは我先にと、先を争うようにハニに駆け寄った。
「何をしているんだよ!」
「大丈夫?ハニちゃん。」
「えへっ!」
「えへっ!じゃないよ、妊婦が何をしているんだ。」
「胸を張って二人の喧嘩を止めようと思ったら、胸を張り過ぎて・・・・・・・・」
あまりにもバカバカしい、ハニらしい尻餅に呆れるしかなかった。
「妊娠でバランスが悪くなった自分の身体を支えきれなかった・・・・と言う事か。」
ある意味、ハニの尻餅で険悪な雰囲気になりそうな朝食の時間は、家族みんながとんでもない量の朝食を食べる事になった。
「もうね・・・・おばさん嬉しくって。」
「オレの臭いに対する吐き気が無くなったからか?」
「まさか!スンジョの臭いは、一生吐き気をもよおしても構わないわ。女の子が産まれる事が確実ならそれでいいのだから。今日のお祝いは、初めて胎動を感じた事のお祝いよ。」
こんな些細な事でもお祝いをするグミに、ハニでさえこの先産まれた後もグミのパワーに恐怖を感じた。
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