ハニの戸惑い 39
「大丈夫か?車の中は、狭いしオレの臭いが充満しているぞ。」
「大丈夫だよ。こんなに良い匂いのスンジョ君なのに、どうして悪阻があったのかなぁ・・・」
「さぁ・・・・オレがお前に触れるのが嫌だったのかもな。」
ポコン・・
「あっ・・・・お腹の赤ちゃんがそうだと言って、動いたよ。」
「複雑だな。自分の子供に嫉妬されているなんて。よっぽどお前が好きなのかもな・・・・・オレみたいに。」
ポコポコ・・・・
「違うって・・・言っているよ。」
「話が出来るのか。産まれて来る子供は、お前みたいに妄想好きな女の子かもな。」
ポッコン・・・・
「そうだって・・・・きっとスンジョ君に似た、頭のいい子供かも知れない。」
ポコン・・・・
お腹の中の子供と本当に会話が出来るのなんて、お母さんって本当に不思議だね。
私のママも、私とこんな風に話をしたのかなぁ・・・・
ママは私に似て、妄想好きだったってパパが言っていたから。
「逆だ。」
「へっ?」
「お前が、ハニがお母さんに似たんだ。」
「そっかぁ!」
スンジョ君は、内緒で私と付き合っていた頃は、いつもみんなにバレ無いように、ポーカーフェイスで、おかあさんたちの前でも私に冷たかった。
ウンジョ君が寝付いた頃に、そっと私の部屋に来てくれて、何もしないで朝まで同じベッドで眠っていた。
何もしないでって・・・・・
あの時は、ほんのチョッとは・・ううんかなり期待していたんだけどな。
初めての人は好きな人と、っていつも思っていたから。
星屑湯で同じ部屋にされた時も、まだあの時は一応綺麗な身体のまま。
その後結婚をする事を決めた時に、泊まった星屑湯の夜に初めて結ばれた。
その初めて結ばれた時の記念に出来ちゃったこの子。
スンジョ君は計算していたみたいだけど、学生のうちに親になっても平気だったのかなぁ。
「ほら、着いたぞ。」
学校の学生駐車場だから、頬っぺたにするキスだけだけど、それでもすごく久しぶりで嬉しかった。
「オレが気が付いていないと思っているのか?みんな聞こえていたぞ。」
ビックリして、顔を見るとニヤッと笑っていた。
「計算していたさ。学生のうちに子供が出来ても、ちゃんと責任は取れる自覚があったし、医師を目指すためには頑張ろうと言う気持ちが、妻子が家にいたらさらに強くなると思ったんだ。お前はピッタリ28日周期だからな。性格と同じでよく判るよ。」
車を降りる時も、お腹が大きくなった私の手を取ってくれた。
「今度の土曜日、ハニのお母さんのお墓に行こうか?帰りに必要はなくなったけど星屑湯に泊まって翌日に帰れば、お前にもお腹の子にも負担はないだろう。」
「うん、また二人であの部屋から見える星を見たいね。」
「そうだな。じゃ・・・オレはこっちだから。具合が悪くなったら連絡しろよ。授業が終わったらいつもの場所で待っているんだぞ。」
スンジョ君がこんなに優しくしてくれると、夢じゃないかと思う時もあるけれど、夢でもいいからずっと冷めたくないとも思う・・・・・・冷める・・・違った・・覚めるだった・・・・
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