ハニの戸惑い 40

体調は悪くはなくても、同じ姿勢で授業を受ける事が辛く感じた。

元々、あまり授業に集中できるタイプじゃなかったけど、ただ普通に座っている姿勢が辛い。

今はまだそれほど大きくないお腹でも、これからもっと大きくなってお腹が邪魔に思うのだろうな。

どうして、学校のこの机と椅子の間隔は狭いのだろうか。

あたり前だよね。

大学は勉強をする為だけで、学生は未婚の子が殆どだし、ましてや妊婦を見る事はなかった。

ハハ・・・・・私も未婚だった。

「大丈夫?」

隣の座席の女の子が、私が考え事をしていたから具合が悪くなったのかと心配そうに聞いて来た。

「大丈夫。」

この授業は、座席は決まっているわけではなくて、自由に好きな場所に座れる。

一番後ろの座席はいつも開いているし、あそこに座ればお腹に負担もかからない。

私の妊娠が判ってから、この奇異な視線には慣れたけれど、それでも耐えられない事はある。

「よぉ、お前ってガキっぽくて、男なんて知らないと思っていたけど、結構スケベだったんだな。」

「・・・・・・・」

「おい!無視かよ。」

スンジョ君に言われた。

嫌な事は無視すればいいと。

「あの、無感情で女に興味のないペク・スンジョをどうやって誘ったんだよ。」

「そうか、お前は同じ家に住んでいたから、毎晩アイツの部屋に行ったのか?」

「・・・・・・・・」

涙が出そう・・・・・

怖い、こんなに数人の厭らしい目つきで私を見ている男子に囲まれていると、無視をしていても怖い。

「妊婦って結構興味があるんだけどさ・・・・」

「オレもだよ。」

「どうせ結婚していないんだから、順番にオレ達に付き合えよ。」

机の上に置いている手を誰かが掴んだ。

私は怖くて、心で「スンジョ君!」と何度も叫んだ。

来るはずはない事は判っている。

まだお昼で、医学部棟はここから離れているから。

「お前らその手を離せよ!」

教室に響く大きな怒鳴り声。

「何だよお前。」

「オレか?オレは学食の、ポン・ジュングだけど知らんかったか?」

グッと言葉を詰まらせている男子学生たち。

そんな事はお構いなしに、ジュングは学生たちの間を分け入ってハニの前の机の上にドン!と、風呂敷包みを置いた。

「悪いな、お前ら何か誤解をしているけど、ハニは身の固い女の子で、誰とでも寝るような女の子じゃない。それに、結婚する事は決まっている。」

学食の男に邪魔されてムカついたのだろう。

お決まりのような捨て台詞を吐いて、サッサとその場から逃げて行った。

「ジュング、ありがとう。」

「弁当だ。ペク・スンジョからじゃないけど、シェフから頼まれて店で作って持って来た。良かったよ間に会って。」

ジュングはいつもタイミングよく助けてくれる。

私の事が好きだったのに、私がスンジョ君の赤ちゃんがお腹にいても助けてくれる。

言葉では伝えきれないジュングへの感謝の気持ち。

ミナもジュリも私がスンジョ君との事で、苛められているのを見つけると直ぐに助けてくれる。

私は本当に、いい人たちに巡り合えた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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