ハニの戸惑い 42
「じゃあ、私は授業だから」
「オレは学食に戻らんとな。片付けもあるし、まだ遅い時間に食べに来る学生がおるから。」
「任せて!私がハニといるから。」
ミナとジュングが抜けて、ジュリは二人だけになるとカバンの中なら鋏とケープを出し始めた。
「ハニ、カットしてあげようか?」
「本当?もうそろそろ美容院に行こうかな?って思っていたの。」
ケープをハニの肩にかけて、柔らかいハニの髪を丁寧にブラッシングする。
「ハニの髪の毛は綺麗だね。細くて艶があって、痛みもなくて。」
「ジュリに教えてもらった通りにお手入れをしているからね。」
「ハニの努力だよ。結婚してからは幸せなんだよね。また一段と艶があって、妊娠して髪質も変わる人がいるけどハニはいい方に変わって。」
何度も何度も髪を丁寧にブラッシングするジュリの方を鏡越しにハニは見た。
「例の彼とはどうなの?もう除隊でしょ?」
「うん、除隊して一旦田舎の実家に戻るって。」
「そっか・・・・・でも、またすぐに戻って来るんでしょ?」
無言のジュリの顔が不安そうに見えた。
「戻らないって?」
「・・・・・・一緒に田舎に行ってくれないかって。私の両親に挨拶をしたら、田舎の両親に私を紹介をしたいからって。」
「それって・・・・・・結婚を前提に付き合うって事だよね。」
「まぁね・・・・・まだ駆け出しの美容師なのに、仕事を辞めろって言われたら、どうしよう。」
ジュリは昔からプロ並みの腕を持っていた。
高校のソン・ガンイ先生や、クラスの女子たちの髪はみんなジュリがやっていた。
今はハニとミナの専属美容師のようになっている。
「彼の両親に、ジュリの腕を見せればいいのよ。きっとうまく行くよ。」
「そうだね・・・・ありがとうハニ。今日は、どれだけ切る?」
「短くバッサリと・・・・」
「勿体ない・・・・」
「いいの。お腹が大きくなったらあまり髪の毛まで手入れが出来ないし、アレンジも出来ないから。また産まれたら伸ばすから。」
スンジョ君も私の髪の毛が好きだと言っていた。
私を抱くとフワッと舞い上がる髪が、絹糸のように柔らかく舞うからと・・・・・
胸の位置の長さから、あごのラインに切られると少し淋しいように感じるけど、このお腹の子供が生まれたら、また伸ばせばいい。
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