ハニの戸惑い 49
「みんな・・・・・どうして・・・・・・・」
「もう!なんで言ってくれなかったのよぉ~ウエディングドレスを買って二人だけで結婚式?ハニとミナと私三人はずっと親友でいようって、誓ったじゃないの~」
古い宿だがかなり手入れはされているが、決して広くはない広間と言う名の部屋にはミナやジュリと7クラスの仲間と。勿論担任だったソン先生が集まっていた。
「ゴメンね、ハニちゃん。今日、スンジョが入籍をするからっておじさんとギドンさんに証人になって欲しいって言って来た時に問い詰めたのよ。」
隣にいるスンジョを見るが、いつもと変わらず平気な顔をしていた。
「スンジョの部屋のクローゼットの奥の奥、それも一番奥に見覚えあるお店の箱・・・・・・あれはなんなの?って。それでもスンジョったら、恍けて<さあ?>って!証拠を見つけたのに恍けるバカ息子に、せっかく買ったのに使わないなんておかしいでしょって、言ったのよ。それもお腹が大きくなっても着られるドレスを選んだのに・・・・・・本当にスンジョは我が家のバカ息子よ!」
何度も何度もバカ息子と連呼するグミに、スンジョの眉間のしわがそのたびに増えて行った。
「おばさん、スンジョ君はバカ息子じゃないです。IQ200の天才です。」
「もぅもぅ・・・・もぅハニちゃんったら。頭の出来なんてどうでもいいのよ、女心も判らないのに手を出して妊娠させたバカ息子よ!」
おばさんが泣いている。
パパも、クラスの女子も泣いている。
「ほらハニ、着替えようよ。私とミナで手伝ってあげるから。」
遅い時間に役所に婚姻届を出して、ハニのお母さんのお墓参りに行くから星屑湯に泊まるだけだと思っていた。
考えれば判りそうな事だったのかもしれない。
完璧人間スンジョが、妊婦のハニに無理とも言えるスケジュールを組む事は考えられなかった。
控室でミナにお化粧とヘアをセットしてもらい、結婚式の準備が完了するのを三人で待っていた。
「そう言えば・・・ジュングは?」
「やっぱり複雑みたい・・・・最近のハニたちは結婚していなくても、二人で並んでいるのが当たり前に見えて、諦めきれない自分にしたら辛いって・・・・・・厨房を借りて料理を作っているわ。」
「1クラスの、スンジョ君のクラスの人たちは?」
「あの人たちは冷たいよね。卒業したら、付き合いもなかったからって来ないの。」
「それにさ・・・担任もガンイ先生と結婚するからって言ってもよ。」
ジュリの言った事にハニは不思議に思った。
「ジオ先生がガンイ先生と結婚するの?」
「そうなの。なんと、ハニと一緒で授かり婚だって。」
考えてみればスンジョ君と付き合い始めた頃は、いつも7クラスは1クラスにバカにされていた。
担任同士も、よく言い争っていたけど、意外とそれが二人を近づく切っ掛けだったのかもしれない。
「おばさんがね、折角だからハニと一緒の合同結婚式にしようかって声を掛けたの。それなのに1クラスは来ないのだから。ペク・スンジョのお蔭で、自分たちもいい思いをしていたのにね。」
スンジョ君、寂しいだろうな。
クラスメートが来ないなんて。
「ハニちゃん、準備は出来たかしら?」
「はい!」
大きなホテルではなく、小さな古びた宿での結婚式だけど、この宿は親子2代にわたって忘れ慣れない場所になった。
0コメント