ハニの戸惑い 50
「おばさん、ハニの着付けとメイクが終わりました!」
「スンジョ、貴方もいらっしゃい。待ち切れないでしょ?」
ミナとジュリが親族控室にいるグミを呼びに来た。
花嫁控室にウキウキとスキップでもしそうなほどに弾むように向かって行った。
「綺麗よ・・・・ハニちゃん。」
「そうですか?でも・・・・恥ずかしくて。」
ハニは鏡に写る自分の姿を見て、恥ずかしそうに笑っている。
「恥ずかしくなんてないわ。ほら、お兄ちゃんがさっきから、ハニちゃんが私に捕られたって顔をして見ているわ。」
おばさんがこんな風に、私の花嫁姿を見てくれると思うと、二人だけの結婚式は出来なかったけど、星屑湯で結婚式を挙げる事が出来て良かったと思う。
「具合が悪くなったらちゃんと言うのよ。」
「大丈夫です、おばさん。」
私のその一言でも、おばさんはすぐに涙を流す。
「ハニちゃん・・・・・お母さんって呼んでくれるかしら・・・・・・・」
「お・・お母さん・・・・・・・」
おばさんは、私を自分の嫁ぐ娘として抱きしめてくれる。私のママがもし生きていたのなら、こうして抱きしめてくれたかなぁ。
「どうして・・・・スンジョみたいな人と結婚するのかしら・・・・・・・」
チラッと見ると、スンジョ君は私から離れないおばさんを見てイライラとしている。
「おい!オレみたいな人間って?それはおかしくないか?お袋がオレとハニを結婚させたがっていただろう。おまけに結婚するのはハニが大学を出てからだって話したのに。」
ようやくハニから離れたグミはスンジョを睨みつけた。
「何が大学を出てからよ。ハニちゃんをこんな身体にして・・・・・・・・待ち切れなかったのはスンジョでしょ!」
そう言われればなんとも言い返す事が出来ない。
二人で正式に結婚を前提とした付き合いをする事を、私のママのお墓参りの帰りに行った帰りに泊まった星屑湯で、スンジョ君と思い出に・・・・・と言うわけでもないけれど初めて・・・・・思い出しても恥ずかしくて普通にしていられない。
グミは大きくなったハニのお腹をそっといたわるように手を添えた。
「まっ・・・・・別に産まれてから結婚してもいいけど、二人三人と孫が増えていくのなら、早い時期に結婚しても構わないでしょ?将来、医者になる男が彼女の身体の事も考えないで襲うからよ。本当に・・・・責任を取るのは当たり前でしょ。」
グミはスンジョとハニには、誰が見ても判るくらいに、表情を変えて話す。
「ハニちゃん!産むのなら絶対女の子ですからね。男の子だったらスンジョの遺伝子を受け継ぐわけだから、絶対に最悪な性格の子になるのは間違いはないわ。もし男の子が産まれるのなら女の子が産まれるまで、二人で毎日頑張ってね!!」
係りの案内で、来客の挨拶にグミはロビーに出て行った。
「ったくお袋は・・・・・いったい誰のせいでこんなに早くハニと結婚する事になったんだよ。」
「スンジョ君・・・・ごめんね・・・・」
「何が?」
「赤ちゃんが出来ちゃって・・・・・」
赤ちゃんが出来なければ、スンジョ君はイライラしなかっただろうか?
「ハニは何も悪くない。お袋が言うようにオレが待ち切れなかったのがいけないんだ。産まれてくる子が男の子だろうと、女の子だろうとオレにはどっちでもいい。ハニがオレの傍にずっといてくれるだけでいいのだから。」
産まれてくる子供は女の子だと、スンジョは知っていた。
産まれれば産まれるで、グミの孫娘を溺愛する姿が目に見えているから、この先何十年もスンジョの戸惑いはきっと続くのだろう。
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