ハニの戸惑い 57
もうあとちょっとで産まれると思うと、不安が大きくなって来た。
産科を受診する時は、いつもスンジョ君とお母さんが付き添ってくれている。
診察室も本当はお母さんも入りたいのだろうと思うけど、遠慮しているのか廊下で待っていてくれる。
「お母さん、今日はエコーがあるんですけど、一緒に入りますか?」
いつも一緒に来ているのに、一度も実際のエコー画像を見てもらった事がない。
診察後に貰う写真で、お腹の赤ちゃんの様子を知るだけ。
「一度くらいお袋もエコー画像みたいだろ?」
「ええ、ええ・・・・・見たいわ!」
スンジョ君が、今朝私に聞いて来た。
『お袋も一緒に診察室に入ってもらってもいいか?あのお袋が入りたいと言わないのは、オレたちの事を気にして我慢をしているのだと思う』
確かにそうかもしれない。
いつもスンジョ君と私を取りあうと言うのか、スンジョ君といてもお母さん私の事が気になっていたのだから。
パク先生とお母さんはスンジョ君が産まれた時と、ウンジョ君が産まれた時に担当してくれたと言っていたから、その時の話を懐かしそうにしていた。
「パラン始まって以来の綺麗な顔をしたあの赤ちゃんがパパになると思うと、私も年を取ったと実感するしかないわね。」
「まぁ~先生ったら、昔と変わらずキビキビとなさっていて、またお世話になると思うと安心ですわ。」
パク医師は、グミと話をしながらモニター画面に、ハニのお腹にいる胎児の画像を映し出した。
ハニにしたら、誰に似ているのか男の子か女の子か全く判断が出来ない。
「先生?この子は女の子ですよね。」
グミがスンジョやハニよりもそのエコー画像を見ていち早く聞いた。
「ん~、どうかしらね・・・・・・」
「先生は判りますよね、この子が女の子かどうか。」
「まぁ・・・・・・たぶん息子さんはだいぶ前に気が付いていますよ。」
「お兄ちゃん!間違いなく女の子よね!」
「さぁー、お袋の期待通りじゃないと、何を言うか判らないから教えない。」
「女の子ね!」
おかあさん、女の子が欲しいんだよね。
スンジョ君もパク先生も判るって言ったけど、私には判らない。
「パク先生、私は自分の時に失敗して男の子を産んでしまったのですけど、女の子がどうしても欲しいのです。もしこの子が男の子なら、付いている物を取ってとは言いませんが、次に産まれる時は必ず女の子が産まれる様に、スンジョの身体をどこか改造してほしいくらいですわ。ハニちゃんの身体は今のままでいいので、どちらか教えてください。可愛い女の子か、スンジョみたいに変人の男の子か・・・・・・」
グミのパワーに負けそうなパク先生だったが、さすがベテラン産科医だと思えたのは余裕のある顔でキッパリと言った事。
「グミさん、私も息子さんも性別は判っています。でも出産をするハニさんが性別は産まれるまで知らないでいたいと言う希望でしたので・・・・・・・子供は天からの授かりものですよ。女の子だろうと男の子だろうと、それはその家に必要な子供を神様がくださるのです。」
パク先生の言葉に、グミは産まれてくる子供が男の子だと思った。
診察室から出た後のグミは。はたから見ても判るくらいに落ち込んでいた。
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