ハニの戸惑い 58

スンジョ君に付いて本屋さんに来たけれど、私にはスンジョ君が欲しい本のコーナーは退屈だった。

「他の階で、お前の好きな本を見て時間を潰していてもいいぞ。」

気を効かせてくれた。

それもあったけど、私がいつも買う雑誌をスンジョ君が見つけたかったから。

広いブックショップの雑誌コーナーは一階にあった。

芸能雑誌を手に取って、お店の壁に掛っている時計を見ても、きっとまだスンジョ君は本を見ていると思って、出産に関する雑誌でも見てこようかと思った。

「すみません・・・・・あの・・・・・・・・」

ショップ店員の人は、私の体型を見て判ったみたい。

「初めてのお子様ですか?」

「はい・・・どんな雑誌が、参考になるのか判らなくて。」

どう見ても私が子供を何人も産んだ人には見えないよね。

教えてもらった雑誌のコーナーには、沢山の妊娠関係の本が出版されていた。

どれを選ぶのかは、自分で決めるしかないけど・・・・・・・

『出産に向けて』

「この本が一番の売れ筋です。用意しておいた方が良いグッズや、出産に関するQ&Aが詳しく書かれています。簡単に書かれていますが、初めての出産の妊婦様の体験談を参考にして作られた雑誌です。」

店員さんが『いくつかの雑誌を見比べた方がいいですよ』と言ってくれたのにホッとした。

雑誌は買わないのなら、立ち読みお断りとされているお店が多いのに、このブックショップは良心的だ。

だからスンジョ君はこのお店をよく利用するのかもしれない。

雑誌コーナーの一角にあるソファーに腰かけて、いくつかの出産関係の本を緊張しながら開いてみた。

一番最初のページには、産まれたばかりの赤ちゃんの写真が載っていて・・・・・・これが『可愛』のかなんて私には判らなかった。

顔だって・・・・・・・・亀か猿みたいと思ったけど、自分の子供ならこんな顔でも可愛いのだろうな。

前にも見た事のある画像もいくつか載っていたけど、生きる物が誕生するまでが本当に不思議だった。

出産関連のグッズの一覧を見ても、グミが買い揃えてくれた物ばかりで、もう用意する必要がない事に気が付いた。

「お母さん、楽しみにしていたものね。全部出かけたついでに見かけたからと買って来てくれたから。」

こういった雑誌の後半は体験談の記事が掲載されている。

どれもみんな、旦那様に立ち会ってもらったから大変だった出産も『二人で子供の誕生を見る事が出来て良かった』と、書かれていた。

そんな時に、一つの体験談に目が行った。

【授かり婚 後悔しています】

そのタイトルを見て、私は他の記事よりも真剣に読む気持ちになった。

体験談の記事を読んで、結局お店の人が薦めた物とは違う本を買った。

こういう内容の物は、お前は読まない方がいいとスンジョ君が言っていたけど、自分と似ている所があるから、読んでみたくなる気持ちの方が強かった。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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