グミの戸惑い 3
スンジョがお腹で大人しかったから女の子だと思い込んでいた私は、女の子の物を準備し始めていた。
退院の時に着せるベビードレスは、お店で見る物では物足りなくて、レースを買いそれをたっぷりと付けた物を着せたくて、入院する時の荷物の中に入れていた。
「スンジョや~アッパだよ。」
男の子が産まれて嬉しそうなスチャンさん。
毎日、面会に来てはどんな息子になるのかと成長を楽しみにしていた。
「グミさん、スンジョの部屋だけど、ピンクやレースは・・・・・・・」
「折角、女の子だと思って用意したのが無駄に・・・・・・・・・・・」
グミの落ち込みに、スチャンはあまり男の子でよかったと言わない方がいいと思った。
「そうよ・・・・そうだわ・・・・・スチャンさん、ちょっとスンジョにこれを掛けてみて。」
ベビードレスを荷物から出すと、スチャンはそれを可愛い息子に着せるのかと思うと、妙な気分になった。
「私、決めたわ!」
「グミさん・・・・・」
「もし、スンジョがこのレースのベビードレスが似合わなかったら、次に女の子を産むわ。もし似合ったら女の子としてこの子を育てるわ。」
スチャンもまさかとは思ったが、男の子だからきっと似合うはずがないと思った。
が・・・スチャンの思いは思いだけで終わった。
眠っている息子は、そのレースたっぷりのベビードレスが新生児室で見るどの子供よりも似合っていた。
「ほら、見て!なんてかわいい赤ちゃんなんでしょ!」
ガラス越しに新生児室の中の赤ちゃんを見に来た人たちは、どの子供よりも可愛らしいスンジョを注目していた。
結局は、私の思い込みがスンジョの人生を狂わせ、ひねくれた性格にしてしまったのね。
可愛い嫁と可愛い孫娘と、三人で並んでいる息子の幸せな子を見ていると、あの思い込みでこの幸せがあるのだと思う事にした。
「何を見ているんだよ。」
気が付けば、いつの間にか懐かしいアルバムが開かれている事にスンジョは気づいてしまった。
「ホホ・・・ちょっと懐かしくて・・・・これあなたが退院した時よ。スンハとそっくりの顔をしているわ。」
「似てない。」
「似てないかしら・・・・・ハニちゃんにも似ているけど、あなたを産んだ母親ですもの、産まれたての孫でも息子と似ている所は二十年以上経っても判るわよ。」
ボソッと言ったスンジョの一言を、グミは聞き逃さなかった。
スンハは、ハニとそっくりだ・・顔は。
0コメント