グミの戸惑い 7
ルミを亡くしてどれくらい経っていたのだろうか。
欲しくて欲しくて、待ち望んでいた女の子のルミ。
先天的に心臓が悪くて、一歳の誕生日を迎える事なく天に召されてしまった。
いつまでも亡くした子供を思ってばかりいてはいけない事は判っていた。
「ママ・・・・・・会社に行くけど、ちょっとスンジョの様子を見に行ってくれないか?今日はまだ起きて来ないんだ。」
「起きて来ないの?」
まだ5歳になったばかりのスンジョは、母の手を煩わせない子供で、朝の自分の準備から夜眠るまで全て自分で出来た。
ルミが産まれた頃から、グミは身体の弱い妹に掛りっきりになっているから、自分でやらざる負えなかった。
「スンジョ?どうしたの?」
ベッドの中で休んでいるスンジョの傍に行くと顔が赤く、見たからに熱があるようだった。
「熱があるのに、どうしてママに言わなかったの?」
「ママ・・・・・ルミがいなくなって・・・・・・病気になったから。」
あの時のスンジョの顔と言葉が胸に突き刺さるようだった。
親としてスンジョが手を煩わせない子供だと思って、熱があるのに見ていなかった事に気が付いた時。
まだ幼い子供なのに、いつも静かに部屋で本を読んで過ごしていた。
時々、おやつを持って部屋に行くと、よく勉強をしている姿も見ていた。
スンジョがあの時熱にうなされていなかったら、いつまでもルミを思いウンジョも産まれていなかったと思う。
亡くした子供を思い続けるのではなく、今生きているスンジョの顔を見て過ごして行こう。
そう思ったら、不思議と心が軽くなって、スンジョが産まれてから始めたカメラもまた復活した。
私が気持ちを切り替えて、スンジョが産まれてから始まったカメラも復活した頃から、スンジョの心からの笑顔を見る事がなくなった。
今の様に、ハニちゃんと笑顔で話したり、父親として産まれたばかりのスンハを見ているスンジョの姿を目の前で見る事が出来て、これがまた幸せだと思える。
「スンジョ、ハニちゃん・・・・こっちを見て!」
____ パシャッ!
写真に納まるスンジョは、心から安らいだ顔だった。
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