グミの戸惑い 12
「オ・ギドンさんがどうかしたの?」
「ママ、ママ・・・ほら覚えていないか?幼馴染のオ・ギドン。いつもワシ助けてくれたオ・ギドン。」
グミはしばらく考えて、ピンと思い出した。
「スンジョが随分小さい時に、会った事があるわね。ルミが入院していた時に、病院で再会したって・・・・・」
「そうそう、そのギドンだよ。あの顔に見覚えはないか?埃でまみれているけど、あの人のよさそうな顔・・・・・」
ニュース番組で写されている埃まみれのギドンと、すがるようにしてしがみ付いている一人の女の子。
「あれはハニちゃんかな?」
「ハニちゃん?」
「ほら、病院でスンジョが友達になった女の子がいただろう?」
あの時は、グミはルミに付き切りで、スンジョが病院に来ても話をする事があまりなかった。
待ち望んだ娘が、治る見込みのない心臓の病気を患っていたから、グミはその事で頭がいっぱいで、スチャンはスチャンで会社が忙しくなり始めた時期だった。
病院に来ても、庭にある銀杏の木の下でいつも本を読んでいた。
そんな時に、母親が入院していたハニと一度出会っていた。
「あの女の子?あの女の子がギドンさんの娘さんなのね。」
なんとなく覚えていた、笑顔の可愛い女の子。
まだ4歳頃だったけど、こんなに可愛い女の子が将来スンジョのお嫁さんになったらどんなにお似合いかとそう思ったわ。
ルミの病室に来てくれた数回だけ会った女の子が、入院していた母親が亡くなってから会う事がなかったけれど、あの時の女の子がパパの親友の娘だと聞いたのは随分と経ってから。
我が家は娘を、ギドンさんは奥様を亡くされて、連絡が途絶えてしまったきり。
私は私で、ルミが亡くなった後も何年も立ち直れなくて、あの女の子の事を考える余裕がなかった。
「新築中の家が崩壊して、ギドンはどこに住むのかなぁ・・・・・・昔世話になったし、助ける事があったら助けたいな。」
運命を感じた。
パパの親友の娘が、もしかしたら心を閉ざしたスンジョを救ってくれるかもしれない・・・・・・と
「パパ、一緒に住んでみたらどうかしら。部屋は幾つも空いているのだし・・・・・・・」
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