グミの戸惑い 14
パパの親友のギドンさんは我が家に来るという事に、O・Kを即答してくださらなかった。
パパが言うには、ギドンさんは義理堅くて、また人に迷惑を掛ける事を嫌がる人だと・・・・
いつものパパならいくら親友でも、相手が断って来たら『そうか、判ったよ。残念だけど無理強いは出来ないからな』で終わってしまう。
もしパパがそれで引いたら、私が何か理由を付けてこの家に何が何でも来てもらうようにしようと思っていた。
「ママ、ギドンが来てくれるって。家が建つまでだけど、施工会社との裁判もあるし時間が掛るかもしれない。そう言って最初は遠慮していたけど、家は部屋が空いているし気にしなくてもいいと・・・・・・・アイツは昔から自分の事より相手の気持ちを考えすぎるからなぁ・・・・・でも、ギドンと再会が出来るなんて、不幸を利用して悪いがワシは嬉しくて仕方がないよ。」
パパの嬉しそうな顔を見る事よりも、今はパパの親友が同居してくれると言う事より、いつかはわが娘にしたいギドンさんの娘を実際に見てみたくて仕方がない。
スチャンから同居をしてくれる事を聞いて、このペク家で実際に女の子が住む事になった事が嬉しくて仕方がない。
昨晩から、持って行くカメラをチェックしてスカーフにサングラス・・・・・・
「ママ、どこかに行くのかい?」
「ハニちゃん・・・・スンジョと同じ学年で同じ学校でしょ?来てくれる事が判っているけど待ちきれないの。早く実物を見てみたくて・・・明日、スンジョにばれないように学校まで行ってみるわ。」
私は女の子がこの家に来るためにはなんだってするわ。
翌日、グミはスチャンが会社に行き、スンジョとウンジョが登校するとほぼ同時に、変装をして昨日の夜に用意した鞄を持った。
パラン高校の前の長い坂道の下から、学校入り口付近がよく見える物陰に身を潜めた。
遠くからメガネを掛けた背の高い女の子と、太った女の子の間に挟まれるようにして歩いているニュースで見た女の子が視野に入った。
楽しそうに話して・・・・・ではなく、他の生徒から震度2の地震で家が崩壊した事を馬鹿にされて、二人の友人の陰に隠れて歩いている姿をカメラに収めた。
その他に、いくつか笑った顔も写した。
我が家に来る事になったハニを、グミはわが子を隠し撮りしている母の気分で門の中に入るまで写していた。
あの時は、こんな風に決して性格の良くない息子の嫁になって、可愛い孫娘を産んでくれるなんて思いもしなかった。
ルミの代わりに現れた女の子だなんて一度も思わなかった。
ハニちゃんは、来てくれただけで家の中を明るくしてくれた本当に素敵な女の子。
こんなに明るくて笑顔の可愛い女の子が、スンジョの意地悪に耐える忍耐力に脱帽よ。
「お母さん、お手伝いします。」
娘がいたらしたかった事は沢山あるけれど、早くに母親を亡くしたハニちゃんと私は共通するやりたい事が沢山ある。
「じゃあ・・・・・これをオーブンに入れて45分焼いてくれる?」
「はい。」
スンハを産んでからひと月過ぎて、明日は産後の定期検診。
医師の許可はないけれど、ハニちゃんは少しずつ普通の生活に戻るように、私の手伝いをよくしてくれる。
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