グミの戸惑い 16
スンジョとハニちゃんの幸せは、我が家の幸せでもある。
ずっと、私はスンジョの笑う顔が見たかった。
普通に笑うだけじゃなくて、心の底から無防備に笑う顔を私は見たかった。
いいえ、笑う顔だけじゃなくて、泣いたり・・・・・・スンジョは男だから泣かないわね・・・・そうね・・・怒ったり、困ったり、喜んだり・・・・心配したりと、普通の人が簡単に表す事が出来る感情を、あなたが自然に出来る日を私はずっと待っていたの。
私が幼いスンジョを傷つけて、あの捻くれた性格にしてしまったのに、そんなスンジョを助けてくれたハニちゃんがいてくれて本当に良かった。
「お袋も暇だなぁ~」
「あら、ウンジョお帰り。そりゃあそうよ、可愛い孫娘の成長を、日々見る事が今のペク家の幸せよ。」
今のグミの楽しみは、初孫のスンハの成長をビデオに写したりそれを見る事。
毎日毎日、同じ事の繰り返しをしても飽きる事ない息子夫婦と孫娘の幸せな様子。
「ねえ、ウンジョ・・・・お兄ちゃんのこの笑顔って素敵でしょ?」
「まぁな、いつも冷めた目で人を見ていたからな。いい顔しているよ。」
「でしょ?長かったわ・・・・・・スンジョがこんな風に笑っているのを見る事が出来るようになるのは。」
ビデオに映るスンジョは、歩き始めたばかりの娘をハラハラしながら少し離れた所から付いて回っている姿。
その様子をハニが見て笑っている、どこにでもある若い家族の風景。
「こんなお兄ちゃんと、昔の無愛想なお兄ちゃんとどっちがいいと思う?」
「そりゃあ、今のお兄ちゃんだよ。人を寄せ付けないところがカッコいいと思っていたけれど、今のお兄ちゃんの方がもっとカッコいいよ。外で見せる完璧な人間と、家で見せる優しい表情の両方があって、さらにカッコよさが増している。」
愛の力は人を変える。
そんな事を言ったらスンジョはきっとバカバカしいというと思うけど、そのバカバカしい事があなたの足りなかった事なのよ。
これからはそのバカバカしい事を、誰の目も気にしないでもっともっと沢山しなさいね。
ママだって、スンジョを傷つけるつもりなんてなかったの。
あなたがスンハを可愛がるように、私もあなたを可愛がっていたのよ。
ただその方法が、私の勝手な間違った可愛がり方で、本当に後悔をしているのよ。
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