小さなライバル達(スンハ) 4
久しぶりにハニと愛を確かめ合おうと思っていたスンジョは、小さなライバルスンリにハニを奪われてしまった。
一人取り残された形のスンジョは、頭を掻きながら小さなライバルに負けた事に苦笑いをした。
「スンリ・・・・アッパの最強のライバルだな。楽しみは今夜か。」
一人になったベッドにまたゴロンと寝ころんだ。
しかしスンリはしぶとかった。
【ガムのオ・ハニ】と言われていた最愛の妻の血を、我が息子はしっかりと受け継いでいたのだった。
大体毎日夕食の時は、遊び疲れて眠くなるから話をしないで食べる事が多い。
昼間のハニを守る事に目覚めたスンリは、一時もハニから離れなかった。
「スンリ・・・・ご飯の支度をするから、アッパの所に行って来て。」
「ヤッ!」
チラッとスンジョがスンリを見ると、自分の方を睨んでハニの腰にしがみ付いていた。
おいおい・・・・・アッパがいるからお前が産まれたんだぞ。
その、悪人でも見るように睨みつける視線は何だよ。
まるで高校時代に物陰からオレを見続けていたハニとそっくりじゃないか。
「スンリ!!火の近くは危ないでしょ!」
ハニが腰に廻されたスンリの手を離そうとすればするほど、ピッタリと身体を付けてくる。
「どうかしたの、スンリは?」
聞き分けの良いはずのスンリが、ハニから離れようとしない。
そんな小さな騎士のスンリの頭をグミは撫ぜた。
「そ・・・それは・・・・・」
いくらグミにでも、ハニは夫婦のスキンシップを見て勘違いをしたのだと話す事は出来ない。
話せば、どんなスキンシップをしていたのかと逆に問い詰められてしまう。
しゃがんだハニの胸元にスンリは手を入れた。
「あのね、おばあちゃん。」
スンジョはギクリとした。
まさか・・・スンリはお袋に何を言う気だ?
「ベッドでね、アッパがね、オンマのおっぱいを噛んだの。ほら!」
夏のブラウスは襟ぐりが少し大きかった。
引っ張ったハニの襟からスンジョが付けた痣が、くっきりと白い胸元に残っていた。
当然グミにはそれが何なのか判る。
運が悪い事に、グミ二世のスンハが学校から帰って来た。
「スンリ、それはねキスマークって言うんだよ。」
「きすまーく?」
「スンハ、スンリに変な事を言うんじゃない。」
自分の座っている隣に引っ張るようにスンジョがスンハを注意した。
「どうして変な事なの?学校の皆知っているよ、アッパとオンマが一緒のベッドに入ってする事。」
「お姉ちゃん、オンマはいつもスンリと寝てるよ。」
これ以上はさすがにスンジョも娘の口を塞ぐしかない。
「スンハ・・・これ以上余計な事を言ったら、オンマに内緒にしている事を言うぞ。」
子供相手に取引をするのは子供じみて情けなくなって来るが、言わせるわけにはいかない。
「いいよ、別に。私はそれを知られても構わないもの。」
ハニはスンリに聞かせないように耳を塞ぐが、知りたがりの年齢のスンリはハニの手を除けようとしている。
グミは子供に振り回されている二人を見て、何も言わずニヤニヤと笑っていた。
「それはね、私たちの姉妹を作る事なんだよ。」
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