小さなライバル達(スンハ) 8
ハニは、先日の家族揃っての妊婦健診に行ってから、幼いスンリが更に自分から離れない事を心配していた。
「スンリ、アッパと一緒に幼稚園に行ってくれる?」
「ヤ!オンマがいいもん。」
「お願いだから・・・・オンマ、今日はやらないといけない事があるから、お仕事には行かないよ。」
「スンリも幼稚園を休む!」
「もぅ!いい加減にしなさい!」
ダイニングで朝食を食べているスンジョやグミとウンジョの所まで、ハニがスンリを怒っている声が聞こえた。
「お義兄さん・・・・今日はスンリがやんちゃを言っているみたいですね。」
「ったく・・・最近のスンリはハニから離れようとしないから、困ったもんだな。」
ウンジョの妻ミアも大きくなったお腹を支えながら、朝食の手伝いをしていた。
「見て来ましょうか?」
「いや・・・・いい。オレがスンリを連れて来ますから。」
朝刊を畳んで、食事を中断してスンジョは立ち上がった。
「本当に困った弟ね・・・・・・ハァー、スンリはマザコンだから・・・・・・・」
「そう言うスンハはファザコンだろ。」
澄ました顔で、嫌味を言うウンジョにスンハはアッカンベーをした。
二階のスンリの部屋に入って暫く経つと、スンリが泣き叫んでいる声が聞こえて来た。
「アッパ!!嫌い!やだぁ~オンマがいいも・・・オンマ・・・・ぅわぁ~ん・・・やだ・・・」
最近赤ちゃん返りまでは行かないが、一時期は自立していたスンリも、ハニが思うように身体が動かなくなって来たのと同じ頃から、オンマオンリーになっていた。
「スンリ・・・アッパの肩車が好きだと言っただろ?」
シャクリあげながら泣くスンリは、コクンと頷いた。
スンリは背の高いスンジョに肩車をされると、いつも泣いているのを忘れたように喜ぶ。
「車を降りたら、教室までアッパが肩車をしてあげるぞ。それにな・・・・オンマは今日スンリがお兄ちゃんになれるように、準備をしないといけないんだ。」
「お兄ちゃんになるの・・・・・」
「だからね、今日はアッパと幼稚園に行って欲しいの。スンリは赤ちゃんのお兄ちゃんになりたいんだったよね。」
オンマに甘えたいが、お兄ちゃんにもなりたい・・・・複雑な気持ちでハニの話を聞いていた。
「幼稚園の先生が言っていたよ。スンリは、お利口さんでとっても良い子だって。良い子はオンマやアッパの言う事をちゃんと聞かないとね。」
煽て宥められて(おだてなだめられて)スンリはスンジョに連れられて、朝食を食べる為に降りて来た。
出産で自分が家にいない間に、スンジョやスンハ、スンリが着替えを探さなくて良いように簡単に何がどこに置いてあるのかを書いていた。
これは水曜日の今日の仕事が休みの時に、幼稚園にスンリを行かせた後、一番やらないといけない事が残っていた。
「オンマ・・・・スンリ幼稚園に行ったよ。」
出産で入院する時の準備をハニはしていた。
「何をしてるの?」
「いつ入院をしても良いように準備をしてるの。スンハも手伝ってくれるの?」
「いいよ。」
オンマのお腹にそっと触れて、スンハはハニが用意している物を眺めた。
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