小さなライバル達(スンハ) 9
「オンマとアッパっていいね。」
「どうしたの?急に・・・・スンハだって、アッパがすごく可愛がってくれるでしょ。オンマ、結構スンハに嫉妬しているんだよ。」
バックに入院準備をしながら母と娘の会話を部屋の入り口から見ていたグミが、静かにドアを閉めた。
「そうなの?だって、昨日の運動会ね、生徒席で皆が言ってたの。スンハのアッパっていつもオンマの事を見ているねって。」
ハニの娘だけあって、夢を見るようなスンハの目はキラキラと輝いていた。
「そう言えば・・・・スンハ、前にアッパが言っていたスンハの秘密って・・・何なの?」
「え・・・・え・・・・・・えっと・・・・・あの・・・・・・・」
スンジョに似ていつも堂々として、時々母親のハニをスンジョと同じようにからかうスンハが口ごもり顔を赤くした。
「あ~、もしかして・・・スンハ・・・・好きな子が出来たの?」
ほんのり頬を染めたスンハの白い顔がさらに赤くなった。
「どんな子?」
「あのね・・・・・5年生のインスン・・・・・・」
時々名前は聞いていた。
今年の生徒会長に圧倒多数で当選を果たしたと、興奮状態でスンハが話していた。
「インスン・・って・・・・あのお家が病院のファン・インスン君?」
「うん・・・・・」
まだまだ小生意気なタダの子供だと思っていたスンハに、いつの間にか好きな男の子が出来た事に、ハニは少しずつ成長しているのだと思い何だか淋しい気がした。
「スンハもそんな年になったの。でも・・・ママの初恋はもう少し小さい時かな?アッパには内緒だよ。」
「オンマの初恋って、アッパじゃないの?」
クスッと笑うハニは、幼稚園の頃を思い出していた。
あれが初恋というのなら、そうかもしれない。
ママが病気で入院していた時によく見かけた、いつも本を読んでいる男の子。
その子は男の子なのに、可愛い顔をしていてなぜかスカートを穿いていた。
幼稚園の制服のように見えた。
チェックのスカートにベージュのブレザー。
絵本で見たスコットランドの衣装をハニはそれと同じだと思っていたから、それが女の子の格好をしたスンジョと気が付くのはもっとずっと後の高校生のあの頃だ。
「アッパだよ。でも、アッパは知らないの。オンマが遠くからいつも見ていただけだから。」
そう、あの時のスンジョは封印したい過去の歴史だから、子供たちにも知られたくない時分の人生の汚点。
「スンハが好きな子が出来た事を、オンマじゃなくてアッパに言ったのが少しショックだな。そうじゃなくても、アッパはスンハに甘いんだから・・・・・・取らないでよオンマの王子様を。」
「もうアッパよりも素敵なスンハの王子様がいるから、アッパを返してあげる。」
お腹の中の子供がハニに何かを訴えるように動いた。
今度産まれて来る子共は女の子。
きっとスンジョはまたこの子を甘
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