小さなライバル達(スンハ) 10
「フゥーツ・・・・・・・・・」
「しんどいのか?」
「ちょっとね・・・・・昼間に頑張りすぎたかな?」
夕食の片づけと明日の朝食と二人の子供の明日の用意が終わって、ハニは二階の寝室に入って来た。
「母親らしい事が完璧にやれない代わりに、幼稚園や学校に行く子供たちが忘れ物をしないようにするんだけど、最近スンリが活発になったからなのか、靴下が直ぐに破れちゃうの。」
「靴下くらいいいだろ。」
パソコンの画面を見てはキーボードを叩くスンジョから、モニターの画面越しにハニが見える。
「スンジョ君は小さい頃から裕福な家庭に育ったからそう言うけど、普通の家庭に育った私には私立の学校の靴下の値段が高いのよね。東大門の市場で10足いくらって言う靴下を履いていたんだから・・・・・・・」
時々深呼吸をするハニが、モニター越しではあるけど、苦しそうに見える。
「明日も早いんだろ?」
「うん・・・・・」
また深呼吸をして、今度はお腹を擦った。
「ベッドに横になってみろよ。」
「えっ?」
「張るんだろう?お腹が・・・・・」
椅子を回転させて、ベッドの端に腰掛けているハニに言った。
「専門外でも、知識はある。それに三人目だし、スンリを抱いているから無理をしたら早く産まれるかもしれない。」
いくら夫婦でスンジョが医師でも、診察室と違って自宅のベッドでは抵抗があった。
「大丈夫だ、お腹を少し触るだけだから。」
夜も遅く子供たちも眠っているから、部屋に入って来る事はない。
が、念のためスンジョは部屋の鍵を掛けた。
「スンジョ君・・・・天井灯消して・・・・・・恥かしいよ・・・お腹を触るだけって・・・・・」
「ハニの身体なら隅から隅まで知ってるのに?」
意地悪くそう言いながらも、天井灯を消してスタンドの灯りだけにした。
ワンピースの裾を上げてそっとハニのお腹を触った。
「動きは感じるか?」
「あまり動かない・・・・スンハやスンリの時とは違うみたい・・・・・」
またハニは深呼吸をした。
顔を見れば痛みを我慢している様にも見える。
「仕事・・・・・明日は行かない方がいいな。」
「良くないの?」
「いや・・・良くないというより、切迫早産の可能性があるかもしれない。出血はなかったか?」
そう言えばそれらしいのがあったようにも思えたが、スンリが自分を探しているのに気が付いて忘れていた。
「母子手帳は?バックの中か?」
ハニのバックから、母子手帳を出して検診の結果を見ると、他人の子供よりも成長が遅いのか胎児の大きさは小さかった。
「スンジョ君・・・・お風呂に入って来るね。」
「長湯はするなよ。・・・・・・・入院の時の荷物は纏めているな。」
「クローゼットの中のカバンに纏めてあるよ。」
と言って、ハニはバスルームに向かった。
何か嫌な感じにお腹が張っている事には気が付いていた。
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