小さなライバル達(スンハ) 13
深夜の自宅出産で、直ぐにハニと産まれたばかりの子供は、救急車でパラン大病院に搬送された。
病院にはスンジョとグミが付き添い、ギドンも本当はハニが心配で付き添いたかったが、深夜だと言う事で付き添う事を控えた。
「奥さん、お願いします。」
「ギドンさんに明日の朝食をお願いして・・・・・・お店の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。仕込みはジュングが来てくれると言っていましたから。それにミアちゃんまで無理をしてハニの二の舞になったら、それこそ奥さんが疲れてしまいます。」
救急車に同乗したスンジョより遅れて、グミは当分の間必要な物を持って行く事になっていた。
「ハニちゃん・・・ちゃんと準備をしていたのね。本当にいいおかあさんになったのね。」
ハニがまとめた荷物を玄関まで運ぶと、二階からウンジョとミアが降りて来た。
「スンハもスンリも少し興奮していたけど、やっと眠ったよ。」
「小さいのによく二人頑張りましたよね。」
出産直後の赤ちゃんを見て、スンハもショックは有ったものの産湯を使いおくるみに包まれた小さな妹を見て、嬉しそうにそっと柔らかな頬を触って緊張した様子だった。
スンハはお姉さんらしく落ち着いていたが、スンリは母親の身体から出る血を見て青ざめた顔をしてはいたが、『よくやったな』と、父スンジョに褒められて嬉しそうにしていた。
「僕もね、大きくなったらアッパみたいなお医者さんになる!」
今迄オンマから離れようとしていなかったスンリも、スンジョがハニを励ましている様子に尊敬の眼差しを向けていた。
救急外来から中に入ると、看護師がハニの入院している病室に案内された。
そっと病室のドアを開けると、落ち着いたように眠っているハニと、ハニの手を握って椅子に座っているスンジョがいた。
「スンジョ、入ってもいい?」
「ああ・・・・今、処置が終わって眠ったんだ。」
ホッとした顔で眠っているハニの顔に張り付いている髪の毛をそっと避けた。
「子供は小さいからNICUに入ったよ。呼吸機能も心臓も何の異常はなかったから、明日の昼過ぎには見られるけど。スンハとスンリは入れない。」
予定日よりひと月も早い孫の誕生に、不安そうな顔をグミがしていた。
「大丈夫だよ、そんな顔をしなくても。産まれてから育つ子供もいるんだ。人間というのは思った以上に生きようとする力が強い。お袋がそんなだと、落ち込みやすいハニを励ますのはオレしかいないだろう。明日の昼過ぎには産まれた子供と対面する予定だが、ガラス越しなら見る事が出来るから一緒に会いに行くか?」
「ええ・・ええ・・・会いたいわ。きっとこれからはいい琴があるはずだから。二人も可愛い女の子が誕生したのだから。」
スンジョに案内されて、NICUのガラス越しに、産まれたばかりの小さな小さな可愛い孫と翌日にグミは対面した。
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