小さなライバル達(スンハ) 14
ドアがパタンと締まる音でハニは目を覚ました。
いつの間にか窓の外は、爽やかな太陽が上がっていた。
「起きたか?」
「スンジョ君・・・・ごめんなさい・・・・・」
申し訳なさそうに、掛け布団を顔まで引き上げて上目づかいにハニがスンジョを見た。
スンジョは口角をキュッと上げて、優しくハニに微笑んで頬を突いた。
「まさか家で産むとはな・・・・・・・外科医のオレが、我が子を取り上げるなんて思わなかったよ・・・・・ったく、お前らしいよ。」
「ごめんなさい・・・・・・・・」
何とも言えないくらいに情けない顔をしているハニのオデコに屈みこんでキスをした。
「でも・・・・オレが家にいる時で良かったな。」
「怒らないの?」
「怒りたいけど・・・・仕方がないだろう・・・・・・でも、お前も子供も無事で良かった。陣痛が起きたら我慢するなよ・・・・・・我慢して二人に何かあったらどうするつもりだ?二人共に何かあって、オレが二人の子供と一緒にこの先どうしたらいいのかを考えた事はないのか?」
ベッドに身体を起こそうとするハニに、そっと手を貸したスンジョはそのままハニを自分の胸に抱きしめた。
「まだ幼い子供たちを残して、妻に先立たれたらどうやって笑って暮らすことが出来るんだよ。」
「本当にごめんなさい・・・・・・まだ産まれるのは来月だっただから・・・・・大丈夫・・・気の所為・・・・・三人目だから判ってたのに・・・・・・産まれそうな感じが・・・・・・・・本当にごめんなさい。」
ポロポロと涙を流すハニの頬の滴をそっと拭った。
「気にするなよ・・・・・・無事にこうしてお前と話が出来るんだから。お前らしくてさ・・・・・冷静なオレを慌てさせて、初めての体験をいつも提供してくれてありがとう。」
意地悪くハニを見下ろして笑うスンジョを、ハニはふくれっ面で睨んだ。
「意地悪・・・・・・・・・」
「見に行くか・・・・・・・・お前に似て、オレを慌てさせる可愛い二人目の女の子を・・・・・・・・」
新生児室に行くと、産科の看護師から祝福を受けて、初めて見る小さな小さな我が子とハニは初対面をした。
保育器の中で、よく眠っている我が子は赤ちゃんだというのに整った綺麗な顔をしていた。
スンジョが合図をすると、小さな小さな我が子を、看護師が保育器の中から出してくれた。
「オ看護師、とても頑張り屋の赤ちゃんを抱いてあげてくださいね。ここに来るまで一生懸命に泣いて、私たちを安心させてくれたのですから。」
スンハやスンリよりも小さくて軽い我が子を抱くと、生きている温かな温もりを感じて、ハニは涙が溢れて来た。
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