小さなライバル達(スンハ) 17
「スンジョ君、雨が止まないねぇ・・・・・・・・えっ?なに?」
ハニは駐車場の所の一台の白いワゴンを見て、口をあんぐりと開けていた。
「どうかしたのか?」
スンミを抱いたまま首を横に振るハニ。
その横でお袋がクスッと笑った。
「あら!あの人強風でTシャツが脱げちゃったみたい。でもよく鍛えていうるわね・・・・・上腕二頭筋と・・・まぁ・・・腹筋が綺麗に割れて・・・・・ハニちゃん、お兄ちゃんとあの人とどっちがいい身体しているのかしら?」
「そりゃぁ・・・おかあさんスンジョ君ですよぉ~ととと・・・・・・」
ギロリとスンジョがハニを睨むと、グミとハニは吹き出した。
「そうよねぇ、お兄ちゃんはハニちゃんを守らないといけないし、三人のかわいい子供のお父さんなんだから、しっかり鍛えなさいよ。」
「下らん!」
強い風は一向に弱まる気配がない、いつまでも病院のロビーにいる事も出来ず、スンジョはある行動に出る事にした。
人がいる事など気にしてはいけないと思い決心をした。
「お袋スラ。で、後はどうするの?」
「ハニとスンミを連れて行く。荷物は後から積み込むから。」
車寄せに停めてあるワゴンに向けてリモコンの電波を送りドアを開けた。
グミは、風が静かになった隙に車に全速力に駆け込み乗り込んだ。
「ハニ、行くぞ。」
「行くぞって・・・・・」
スンジョは長い腕を拡げたと思ったら、胸に抱え込むようにハニとスンミを抱き寄せた。
その行動に、ロビーで雨が治まるのを待っている人たちの視線がスンジョに向けられた。
グミが手招きをして頷いたかと思うと、スンミを抱いているハニを守るように走り出した。
一つの滴もかからない様に小さなスンミに覆い被さっていた所為か、全く濡れないで車に辿り着いた。
小さな小さなスンミは、フロントガラスや台風の風で揺れる車体にも動じず、スヤスヤと眠っていた。
「よく眠る子は育つんですって。」
「眠る子は育つのよねぇ・・・」
数日前からグミはまた女の子が増えたと言って何やら家でやっていた。
スンジョは夜勤でハニとも話す時間が無かった事と、重篤な患者もいて病院で寝泊まりしていてまだスンミに用意された部屋の事は知らない。
「眠る子が育つように、良い部屋を準備しているのよ。」
ハニはスンミの部屋の様子は知っていた。
でも、グミが大好きだからそれに対して何も言わないが、スンジョが怒るだろうと思うと、自宅に着いた時の反応が気になった。
0コメント