小さなライバル達(スンハ) 19
小さな家族が増えてからのペク家は一段と賑やかになっていた。
ハニがスンミに授乳をしようとすれば、スンハやスンリは勿論の事、グミとミアまで付いて行く。
「ただいま・・・・・」
スンジョが帰宅すると、リビングでスチャンとウンジョが元気のない様子で座っていた。
「兄貴・・・・お帰り。」
「どうかしたのか?お袋たちは?」
久しぶりの日勤だったが、急患が入り6時には帰宅出来るはずが、今はとっくに9時を過ぎていた。
玄関のドアを開ければ、ハニの掛けてくれる言葉や二人の子供が我先にと自分に飛び付いて来るのが日常になっていた。
「スンミの授乳に、みんな2階に上がったままだよ。」
「ふぅ~ん。」
「スンジョ、ギドンの所に食べに行かないか?」
グミがいるのに外食をする事に、スンジョは不思議そうにダイニングテーブルを見たが、シンクはきちんと片づけられテーブルの綺麗になっていた。
「食事は・・・・・用意されていないのか?」
「そうなんだよ・・・・・スンハやスンリ達は食べ終わっていたみたいだけど、オレ達の分は作りかけどころか用意されていないんだ。」
冷蔵庫を開けてもすぐに火が通る様な食材ではない。
今からスンジョが作っても、食べる事が出来るのは10時になってしまう。
着替えるために2階に上がり部屋に入ると、スンミを囲んでスンハ・スンリ・グミにミアが寝顔を眺めていた。
「あっ!お帰り、スンジョ君。」
ハニのその言葉に、その場にいた全員がスンジョをチラッと見ただけでまたスンミの寝顔を見ていた。
「夕食は?親父もウンジョも食べていないみたいだけど・・・・・・」
グミはチラリとも見ないで、可愛い孫娘の顔を眺めながら、面倒臭そうにスンジョに言った。
「私たちは済んだから、ギドンさんのお店で食べて来て。電話はしてあるから。」
いくら女の子が欲しかったといえ、ペク家に誕生した女の子は二人目。
飽きる事無いグミの女の子の世話は、家事をも適当になっていた。
「お兄さん・・・・報告なんですけど、このお部屋に来るからなのか・・・私の子供も女の子なんです。」
訳の判らないミアの言葉に、グミが付け足した。
「お兄ちゃんとハニちゃんの寝室はきっと女の子が産まれる何かがあるみたいだから、ハニちゃんと一緒にミアもいる事が多いのよ。」
変わらずグミの根拠のない説明に呆れた。
「着替えるから、出て行ってくれないか?」
スンミの為の部屋に行かないで、ここに皆が集まる理由は、スンジョが嫌がるくらいにピンクやらレースやらで飾られた部屋に、スンミを寝かせたくないというスンジョの意見からだった。
スアを抱きたくても抱く事が出来ないスンジョは、皆を部屋から出してハニからスアの一日の報告を聞きたかった。
それなのに、ハニも眠っているスンミを連れて全員が出て行ってしまった。
0コメント