小さなライバル達(スンハ) 22
スンミは、よく寝てよくミルクを飲む子供だ。
ハニには言えないが、三人の子供の中で一番可愛い。
スンハの顔はハニに似ているから、黙っていればハニが子供の頃はこんな感じだっただろうと思う、が・・・・・・・・口を開いて行動に移すとお袋とそっくりだという事。
広い心で見れば、お袋とハニは似ているが、それに加えてお袋は自信たっぷりだという事だ。
「スンジョ君は、お母さんに似ているね。」
オレは似ているのが顔だけだと思っていたが、ハニに言わせると自信たっぷりなところがお袋とオレは似ているらしい。
だけどオレはお袋みたいに、自己中心的ではないぞ。
「なぁ~スンミ、アッパは自己中じゃないよな?」
少しずつ表情も出てきて、オレの顔を見ると嬉しそうに笑ってくれる。
いつ頃か、スンミのこのお袋好みのこの部屋も嫌じゃなくなって来た。
「スンジョ君、ミアがウジョンの予防注射に連れて行くから、私も付いて行こうかなって・・・・・・・・・・」
「スンミなら見ているから、帰りにカフェでゆっくりして来ていいぞ。」
「本当?夜勤明けで疲れているでしょ?お母さんも出かけていないから、スンジョ君の方こそ、ゆっくりと寝たいよね。」
「スンミも寝ている事が多いから、仕事をしていても困らないし置いて行けよ。それに、予防注射を打たないのに病院に連れて行くのは良くないだろう。」
ハニはオレを気遣ってくれているのだろうが、来月から職場復帰をする予定だからミアとスィーツを食べ歩くのも今だけだからな。
ハニとミアが家を出てからスンミの部屋に入ると、ベビーベッドで目を開けているスンミを抱き上げた。
この家には今は誰もいない。
「スンミや~アッパでちゅよ~。」
一度言って見たかったって言う訳でもなく、誰もいない時にこんな風にオレが自分の子供をあやしている事は誰も知らない。
スンミが三人の子供の中で一番好きなのは、ハニとそっくりだからだ。
ハニやお袋たちは、親父やお義父さんとウンジョには懐かずに抱こうものなら大きな声で鳴くのは<人見知り>だと言っているが、スンミは男はオレしか好きじゃないんだと思う。
オレしか愛せないハニの子供だから、その考えには自信はある。
平たいオデコも、大きいが奥二重で眠そうなキラキラとした目にふっくらした可愛らしい唇。
何とも言えない程、可愛いくて仕方がない。
後十何年経ったらオレ以外の男を好きになるんだろうな、そう思うとその男はきっと・・・・・・
許せないだろうな。
こんなにハニとそっくりな愛娘が、他の男の物になると知ったら、オレは絶対に許さない。
スンジョは可愛いスンミの唇に、チュッとキスをした。
「スンミや、お前の最初のキスはアッパだからな。」
こんな姿をハニが見たらどう思う事か。
自分の子供がこんなに可愛いとは思わなかったし、オレが自分以外に関心が無かったのにハニを好きになって、三人の子供の父親になって親バカになるなんて誰が思っただろう。
可愛くて仕方がないスンミは、オレが誰もいない時にキスをしているからか、オレの顔を見ると口を尖らせているのが判るのはオレだけだろうな。
本当にコイツは可愛くてどうしようもない。
仕事から疲れて帰って来ても、スンミのこの輝く笑顔を見ると疲れも取れる。
オムツを換えて、ハニが搾乳しておいた母乳を湯煎で温めて、汗を掻いたら着替えをして。
静かなオレとスンミの午前中の時間はあっという間に過ぎた。
「スンジョ君ただいま。」
ハニがスンミの部屋にいるオレのそばに駆け寄って来てオレの首に手を伸ばしてキスをして来た。
「お帰り、スィーツは堪能して来てたか?」
「うん、ちょっと食べすぎたみたい・・・・・・・スンジョ君のお昼は買って来ちゃった。今、温めるね。そうそう、スンミは良い子にしていた?」
ちょっと悔しいがやっぱり子供には母親がいいのか、スンミに両手を広げるとオレに向けていた可愛い笑顔はハニに移った。
オレはちょっと寂しい気分になったが、オレの好きな二人の笑顔が一度に見る事が出来るこのタイミングが一番幸せなのかもしれない。
勿論、スンハやスンリも揃えばそれに超した事はないが・・・・・・・
「ああ、スンミは良い子だったぞ。」
ハニがスンミから手を離れたら、オレとハニのかわいい子共をもっと欲しくなるかもしれない。
0コメント