小さなライバル達(スンハ) 28
「本当に一人でいいのか?スンミの時も一緒に行っただろ?」
「大丈夫よ。初めての妊娠じゃないし、四人目よ!妊婦のベテランなんだから。」
自信たっぷりに言うハニが、おかしくてスンジョは吹き出した。
「何よ!なんで笑うのよ!」
「ベテランなのに、自分が妊娠している事に気が付かなかったのだろう?」
それを言うとハニは何も言い返せない。
スンジョのネクタイを直すふりをして、俯き加減で舌を出した。
「オンマ?」
いつの間にかスンリが、ハニ達がいる部屋に保育園の用意をして入って来た。
「どうしたんだスンリ。一人で用意が出来たんだな。」
ハニの脚元にしがみ付く様にして、スンジョを睨んだ。
「当たり前だよ!僕、スンミのお兄ちゃんなんだから。」
何かスンジョに恨みでもあるのか、スンリは目を吊り上げてスンジョから視線を外さなかった。
その顔が何ともおかしくて、スンジョはスンリの頭を撫ぜて聞いた。
「どうかしたのか?スンリ。」
「お姉ちゃんが言ってた・・・・・・・・またアッパがオンマに赤ちゃんの素を送ったって。」
たしかに赤ちゃんの素は送ったなぁ・・・・と、スンジョは笑いながら思ったが、ハニは赤い顔をしてスンリの顔を自分の方に向けた。
「スンリ、その話はお家の中だけよ。保育園では言わないでね。」
意味も解らないスンリがスンハから聞いたとおりの事を言うと、スンジョとハニの二人だけの秘密を口止めしておかなければ病院中に知れ渡る事は判っていた。
「保証できない!」
スンミが産まれてから、あまりハニがかまってやれないからなのか、小憎らしい言い方をスンハから教えられていた。
ダイニングからグミがスンリを呼ぶ声が聞こえると『保証できない』と、言ったまま部屋を出て行った。
「何がしたかったんだスンリは。」
「スンミにまだ手がかかるから、スンミが寝ている間は私に構って欲しいみたい。スンミが眠っている時はもっともっとスンリに構ってあげるつもりだったのに・・・・まだ5歳なんだものね。でも、今回の妊娠は予定外だったね。」
「そうか?オレはいつでも子供が出来るのはO・Kだし、最愛の奥さんのハニとの子供なら何人でも欲しいけどな。」
からかうように覗き込むスンジョの視線に頬を赤らめて、ハニはサッとスンジョの頬にキスをした。
「まだ一年は欲しくないなって本当に思ったのに、スンジョ君がエッチだからよ。」
「子供は一人では出来ないけどな。ハニも、その時は結構幸せそうないい顔していたぞ・・毎晩。」
スンジョの胸に、顔を隠すようにピッタリと顔をうずめた。
「スンジョ君が・・・そんな事を言うなんて・・・・・・スンミが産まれてまだ半年も経っていないのに、すぐに次の子が出来て・・・・・恥かしいんだから。」
「どうせお前が恥ずかしいと思うのは、看護学科から一緒の連中にからかわれるからだろ?オレはお前に教えられたように、自分の心に素直に愛情表現をしたつもりだぞ。
まぁとにかく、今日パク先生に診てもらって確認が出来てから、仕事の復帰の時期も考えないとな。」
来月から復職するつもりでいたのに、悪阻が始まってしまうと復職を遅らすか、産まれて落ち着くまで休職するのか考え直さないといけなかった。
病院の入り口までスンジョと一緒に行き、ハニは一人でパク先生の診察室に行き、妊娠の結果を待っていた。
「オ・ハニさんどうぞ。」
三人の子供を妊娠中もお世話になったパク先生は、おっとりとした60代の女医。
スンジョが産まれた時からの付き合いだからなのか、パク先生は親しみやすい先生だ。
もっともスンジョが産科の先生に女医に選んだのは、ただ男性医師に診てもらうのが嫌だからなんて事をハニは知らない。
「もう3か月目に入っていますよ。授乳をしているから気が付かなかったのですね。スンミちゃんには可哀想ですが、母乳はもう止めてくださいね。」
0コメント