小さなライバル達(スンハ) 33
「スンリ・・もう眠ったよ。」
「スンジョ君と一緒に、お風呂に入ったのが嬉しかったのね・・・・笑った顔で眠っている・・・・」
スンリが眠ったのを確認したスンジョは、そっと起き上がりスンリを抱き上げた。
「どこに行くの?」
「スンリのベッドに寝かせて来る。朝、またこっちに連れて来ればいいから。このベッドで5歳になったスンリと一緒では狭いからな。」
スンジョがスンリを抱いて部屋を出ると、ハニも一緒に後ろを付いて行った。
グッスリと眠ったスンリをベッドに寝かせると、二人はスンリの寝顔を覗き込んでいた。
「いつになったらスンリはスンハみたいに、甘えないで何でも出来る子になるんだろう。」
「無理だな・・・・・」
「どうして?」
スンジョはニヤッと笑った。
「焼きもち妬きで甘えん坊のお前の遺伝子を持っているからな。」
さすがに最近のハニはこれくらいの事では拗ねる事も無くなっていた。
「焼きもち妬きはスンジョ君の方が、かなりですけどね・・・・・」
胸を張って得意気に言うハニに聞き返した。
「どうしてオレの方が、かなりなんだ?」
「ギョルに焼きもちを妬いた時は、スンジョ君ったら3ケ月は口を利いてくれなかったわ。3ヶ月も私は訳も判らないスンジョ君の焼きもちに、随分と傷付いたんだから。」
ハニと親しくしていたギョルに焼きもちを妬いた事を、事あるごとにハニはそれを引き出してはスンジョをからかっていた。
冷たい氷の王子が、温かい人間の感情を芽生えさせたあの頃から、すでに10年以上も経っていた。
「お前もしつこいな。」
「ガムのオ・ハニですから。でもスンジョ君も言えないんじゃない?3ケ月も口を利かなかったんだから。」
昔はスンジョに意地悪されたりからかわれたりしては泣いていたハニも、三人の子供の母になったら、言い返セルくらいに強くなっていた。
「お袋にも、まだ言うなよ。」
「何?」
「ウンジョが帰って来たら、家を出ようか?」
大切な事をいつもスンジョは突然に言いだす。
「どうして?お母さんともミアとも仲良くしているよ。」
「誰が悪いとかじゃないんだ。ハニのお義父さんがこの家を出たのは、ウンジョが結婚した時だったよな。最近のお義父さん、慢性疲労で結構辛そうにしているんだ。それにオレ達に子供が多いし、自分の家族の分でもないのに洗濯を何度もしていると、大人しいミアも困るだろう?」
ギドンも68歳になって、1日中厨房で立っていると、家に帰ってから疲れてそのまま眠っている時が増えて来ている事を、スンジョもハニも知っている。
ハニ達の子供にしても、まだ小さい頃なら兄妹での共同部屋でも大丈夫だが、この家に住んでいる家族が11人というのは、家事をやっているグミの負担を考えると、この先ずっと大変になって行く事は判り切っていた。
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